2025年11月27日

第629回中医協総会(11月21日)
第629回中央社会保険医療協議会総会が11月21日に都内で開催され、令和8年度診療報酬改定に向け「歯科医療」について、今後の歯科治療の需要や歯科医療提供体制等を踏まえた5つの論点を議論した。歯科医療については、9月10日に開催された第616回総会において歯科医療を取り巻く現状や歯科医療提供体制に係る現状と課題を確認していたところである。
本総会では、厚生労働省から資料説明が行われた後、日本歯科医師会常務理事の大杉和司委員が論点に沿って、要旨以下のとおり発言した。
大杉和司中医協委員 歯科疾患及び口腔機能の管理に係る診療報酬上の評価の位置づけについて、イメージ図が示されているが、「小児口腔機能管理料」や「口腔機能管理料」では、関係学会の指針等に口腔機能発達不全症や口腔機能低下症の診断基準が定められているものの、管理の対象にならない患者が存在しており、必要な治療や管理をより幅広く行えるよう診療報酬上の位置づけを見直すことに賛成する。
「歯科疾患管理料」については、これまでさまざまな議論を経て現在の評価となっている。歯科疾患の重症化予防のため、個人個人に応じた管理を計画してその説明を実施している。超高齢社会を迎え、診療の都度、基礎疾患の有無や服薬に関する情報等の確認や、入れ歯の治療を通じて口腔機能の管理を行うケースもあるため、こうした状況を踏まえつつ、患者の納得が得られるような方向で検討を求める。
「新製有床義歯管理料」は1口腔単位とされているが、義歯は上下で形態が異なり、装置の形態に応じた管理に見直すことは妥当であり賛成する。
「歯周病安定期治療」および「歯周病重症化予防治療」は、両者とも歯周病を重症化させないという点で重要な治療行為であるが、治療内容がほぼ同じでありながら、ポケットの深さのわずかな変化によって請求項目が異なることは、歯科医師と患者双方にとって理解しにくいので、わかりやすく、治療が円滑に行えるよう検討を求める。
小児の咬合の獲得において重要な保隙装置は、歯の発育状況等に応じて細かい調整が必要となるため、「小児保隙装置」に対する調整や修理の評価を強く求める。
「歯科矯正相談料」は前回改定で新設されたが、まだ取組が少ないため、関連学会の考え方に沿って運用が進むよう検討を求める。また、現在は矯正治療の対象となっていない先天性欠損歯を伴う患者を追加することは示されたデータからも妥当と考える。
なお、「歯科固有の技術」については、臨床実態を踏まえ柔軟に取扱い等を見直す必要があるものと考える。
「周術期等口腔機能管理計画策定料」は、現場の意見を伺いながら推進されるよう検討を求める。
多職種との連携に係る現行の診療報酬上の評価を資料に整理していただいたが、医科との連携が更に推進されるよう、より実効性の高い運用の検討を求める。
歯科診療所にとって歯科衛生士および歯科技工士の定着・確保は非常に重要な課題である。
歯科衛生士業務に関連して、「口腔機能指導加算」は「歯科衛生実地指導料」と比較すると算定回数が少ない実態が示されている。これは、本加算が実地指の加算となっているため、実地指の算定要件である15分以上の指導を実施した上で、さらに口腔機能の指導を行わなわなければない点が、取組が進まない要因になっているものと考えられる。現状の限られた診療時間のなかで、歯科衛生士が指導に取り組めるよう実態に沿った検討を求める。
歯科技工士と歯科医師の連携に関連して、「歯科技工士連携加算」については、前回改定で新設されており、歯科技工士との連携は技工物の精度を上げるためにも重要と考える。しかしながら歯科診療所に勤務する歯科技工士は約1割程度と少ないため、歯科技工所との連携も重要である。最近では技工物のデジタル化も進んでおり、これらの技術のメリットを連携に活用できるような制度設計を求める。また、歯科技工士の処遇改善には、技工物の点数の引き上げも重要であり、併せて検討願いたい。
金をはじめ歯科用貴金属の素材価格は上昇傾向にあり、業務負担の観点からもデジタル化とともに歯科におけるメタルフリーの技術の拡充は必要不可欠であり、次期改定で推進されるよう強く求める。
「クラウン・ブリッジ維持管理料」は、長い変遷の中で一定の役割を果たしてきたと考えるが、昨今のCAD/CAM技術における材料の物性の向上等を加味しつつ、現場の意見も伺いながら、実態に即した要件や見直しを求める。
また、素材価格の高騰を踏まえ、局部義歯におけるバーやクラスプについて、原則コバルトクロム合金を使用するものとすることに一定程度理解する一方で、操作性等の観点から、コバルトクロム合金で対応出来ない症例への配慮を求めたい。
光学印象は精度も上がってきており、患者の負担も小さくなることから、拡大する方向に異論はない。
その他として記載されている論点は当然の整理であり検討を求める。特に、麻酔を伴う場合の薬剤料の算定についてはぜひともお願いする。
◆ ◆ ◆
なお、日本医師会常任理事の江澤和彦委員は、多職種連携について、歯科の介入が入院患者の在院日数の減少や誤嚥性肺炎等の発症に与える影響に関するポジティブなデータが出ていることを紹介した上で、事前の情報共有や治療後のフィードバックの評価のあり方について検討を求めた。
※資料は11月21日開催の厚労省・中医協ホームページ
( https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66182.html )をご覧ください。






