2023年12月25日
令和6年度の歯科保健医療施策関係予算(案)が、12月22日に閣議決定されました。
厚生労働省医政局全体の予算が対前年度比+1.0%の中で、歯科に関わる医政局歯科保健課予算は41億9,500万円で6.9%増額となっており、「歯科口腔保健・歯科保健医療の充実・強化」の部分では、対前年度比 10.4%増額となる他、喫緊の課題や将来に向けた課題に対応すべく、随所に工夫の見られる内容と受け止めています。
骨太方針2023にも記載されているように、「歯科口腔保健の充実」と「歯科保健医療提供体制の構築と強化」は国の歯科保健医療政策の大きな柱であり、今回の予算でもこれらに取り組む姿勢が示されています。特に、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)に向けた取組の推進として、歯周疾患検診の対象年齢拡大のための予算措置が行われており、20歳と30歳が対象に加えられたことは評価します。また、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)推進事業の拡充、歯周病等スクリーニングツール開発に係る事業の継続、更には地域間の健康格差是正に重要な8020運動・口腔保健推進事業のメニューの一部拡充なども、評価したいと考えています。なお、口腔保健推進事業については、都道府県等にも予算面での負担が生じることから、事業への取り組みに関して、自治体への積極的な働きかけをお願いいたします。また、「歯科保健医療提供体制の構築と強化」については、地域の実情を踏まえた都道府県の取り組みの実施に必要な財政支援である歯科医療提供体制構築推進事業の継続とあわせ、病院歯科への設備整備の支援が追加事業として認められたことから、これらの事業を通じて地域における歯科医療提供体制の構築が更に推進されることを期待します。
一方、歯科衛生士の人材確保事業に関する予算は、対前年度と比較して大きく減少しています。歯科衛生士の人材確保は大きな課題であり、次年度以降の予算獲得については、復職支援のための研修のみならず、人材バンク登録などのシステム構築等、新たな事業も組み込んだ形での事業の在り方の検討を含め、歯科保健課に対して申し入れを行ったところです。
歯科保健課予算については、次年度以降、確保された予算の有効活用、個々の事業の運用面での見直しを含めた更なる充実と、計画的でかつ迅速な執行をお願いしているところです。
今後は、この令和6年度予算の有効活用の下、歯科関係事業が円滑かつ迅速に実施され、各地域における歯科保健医療の充実を果たせるよう日本歯科医師会も積極的な提言と協力をして参る所存です。