2025年11月19日
大杉和司中医協委員第627回中央社会保険医療協議会総会が11月14日、都内で開催され、令和8年度診療報酬改定に向け「在宅(その4)」として歯科訪問診療に係る2回目の議論が行われた。歯科訪問診療については、8月27日に開催された第615回総会において「在宅歯科医療を取り巻く状況」や「歯科訪問診療の実施状況等」に係る課題が提示されていた。
総会では、厚生労働省から資料説明が行われた後、日本歯科医師会常務理事の大杉和司委員が論点に沿って発言した。
1つ目の論点「在宅歯科医療推進加算の見直し」については、本加算は在宅への移行を推進する視点から、主に歯科訪問診療1を多く行っている歯科診療所を評価するものであるが、在宅療養支援歯科診療所と内容が類似するため、施設基準の簡素化につながる趣旨であれば賛成するとした上で、かかりつけ歯科医による歯科訪問診療を推進する観点で、特に居宅等への歯科訪問診療を取り組みやすくするための評価や運用の見直しを求めた。
2つ目の論点「患家や同一建物に居住する少数の患者に対する歯科訪問診療の実績や歯科訪問診療の実施責任者を配置する等を要件とする施設基準の設定」では、同一建物居住者に対する多数の歯科訪問診療を適正にするための対応であることを前提に、現場では患家の少数患者に歯科訪問診療を実施する歯科診療所も存在するため、こうした歯科診療所への配慮を求めた。
3つ目の論点「在宅療養支援歯科病院の届出医療機関の増加に向けた施設基準の見直し」については、歯科診療所の後方支援機能や研修・教育機能の評価に賛同するとともに、臨床研修施設における研修歯科医の受け入れ状況や当該施設における歯科訪問診療の研修・教育体制を施設基準に加味することの必要性を訴えた。
4つ目の論点「訪問歯科衛生指導の評価の見直し」については、本指導が施設等における要介護者の誤嚥性肺炎等の予防に重要な役割を果たしていることを強調した上で、資料に示されたとおり、単一建物診療患者が1人の場合の指導回数が最も少ない点を踏まえた評価を求めた。また、特別な関係に当たる建物への訪問歯科衛生指導については実態に即した対応を求めた。
最後の論点「在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料の見直し」については、本指導料による評価の対象を指導とし、歯科医師の指示を受けた歯科衛生士によるものを対象に追加することや、ミールラウンドや食事指導および嚥下訓練などにオンラインを活用していく方向性に賛同した。
※資料は11月14日開催の厚労省・中医協ホームページ
( https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65884.html )をご覧ください。






