2020年10月15日
日本歯科医師会は、10月15日に「2040年を見据えた歯科ビジョン―令和における歯科医療の姿―」を刊行し、ホームページに掲載しました。
歯科がこれから担う役割と責任を宣言
歯科医療提供者は、これまで「う蝕予防活動」や「8020運動」など、国民の皆様の健康増進に向けた取り組みを精力的に進め、成果を上げてきました。その一方、近年では急激な少子高齢化により、我が国が誇る国民皆保険の維持に困難が生じ、同時に人生100年時代にいかに健康な老後を確保するかも課題になってきました。
このため、日本歯科医師会は「超高齢社会において歯科医療の果たすべき新しい役割と責任」について議論を重ね、その中で「口腔の健康が全身の健康に密接に関係する」という多くの知見を得ました。それをもとに歯科医療と口腔健康管理が、超高齢社会で求められる「健康寿命の延伸」にドラマチックに貢献できるとの確信のもと、新たに20年後の2040年を見据えた歯科医療のあるべき姿を描いたのが、「2040年を見据えた歯科ビジョン―令和における歯科医療の姿―」になります。
ビジョンは2018年より構想を始め、2019年6月19日から外部の有識者も含めた「2040年を見据えた歯科ビジョン検討会議」で検討を開始し、計3回の検討会議で議論を深めました。2020年1月に発生した新型コロナウイルス感染症の影響で、作業は一時中断しましたが、その後の編集会議を精力的に開催して、この度の刊行となりました。
ビジョンの構成は「はじめに」、「データで見る2040年の社会と今後の歯科医療」、「目指す5つの柱」、「柱実現に向けての具体的戦略」からなり、「はじめに」では、ビジョンの策定の趣旨や必要性を明記するとともに、改めて歯科がこれから担う役割と責任を宣言し、国民の理解を得て、国民と共に進むことを示しています。
「目指す5つの柱」では、①健康寿命の延伸に向けた疾病予防・重症化予防に貢献する、②地域を支える歯科医療を推進する、③質が高く効率的な歯科医療提供体制を確保する、④個人の予防・健康づくりをサポートする、⑤多様なニーズに応え社会貢献を果たす―ことを掲げています。
今後はこのビジョンを基軸に据えて、具体的なアクションプランに沿って対応を進めていきますが、20年後に向けての指針であることから、内容に追加や修正の必要が生じるのは当然であり、取り組みを進めながら更に修正を加えていくことになります。
刊行したビジョンは、厚生労働大臣をはじめ、都道府県歯科医師会、郡市区歯科医師会や日本歯科医学会、日本歯科衛生士会、日本歯科技工士会などの歯科関連団体、日本医師会、日本薬剤師会などの医療関係団体、全国の歯科大学・大学歯学部、健康保険組合連合会、協会けんぽ、国民健康保険中央会、日本労働組合総連合会などに送付しております。
第1.はじめに |
※「2040年を見据えた歯科ビジョンー令和における歯科医療の姿ー」は、日歯HPより閲覧、ダウンロードすることができます。