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プレスリリース・活動報告

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「経済財政運営と改革の基本方針2017」に対する日歯の考え

 日本歯科医師会は6月9日(金)に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017(骨太の方針2017)」について、引き続き「世界に冠たる国民皆保険を維持し、これを次世代に引き渡すことを目指す」と明記されたこと、並びに歯科医療、口腔機能管理に関して充実するべき部分が明らかになっていることを評価する。

 歯科界は10年以上にわたり、歯科医療、口腔健康管理が全身の健康に大きく資することを様々なエビデンスを示して発信してきた。今回の骨太の方針に「口腔の健康は全身の健康にもつながることから、生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者に対する口腔機能管理の推進など歯科保健医療の充実に取り組む」と明記されたことは歓迎する。日本歯科医師会として、この取り組みの推進に関して、多くの具体的政策提案を有しており、今後それらを明確に示していきたい。

 日本歯科医師会はこの他、骨太の方針2017について、以下のように考える。

日本経済の現状と新しい歯科医療提供体制の構築について

 4年半のアベノミクスの取組には、様々な評価が存在するが、名目GDP、企業収益、雇用等の改善があり、経済の好循環が回り始めているとの評価であれば、一方でその背景に国家の基幹である社会保障の過度な抑制による歪みが生じていないか、しっかりと確認いただきたい。

 一世紀に近い歴史を有し、先人の献身的努力により世界に冠たる制度に発展し、我が国を世界一の長寿国に導いた公的医療保険制度が、財政面での危機を迎えている現状に直面し、歯科界も如何にして危機的状況を克服し、超高齢社会における将来像を得るか、長年にわたり議論を重ね、発信を続けてきた。

 我々は長寿社会においては単に長く生きることだけを目標にするのではなく、食べる、話す、笑うという生活の基本を人生の最期まで全うすることを目指すべきであり、そのことが医療の財政側面に貢献することを示すとともに、そこに歯科医療の新しい役割と責任を果たすという明確な方向性と目標を得ている。

 国民の全てが、老後の医療を含む社会保障に安心感をもつことが、消費の活性化、経済の活性化にもつながるものと認識しており、日本歯科医師会は国民の健康と生活を守る立場で責任を果たしていきたい。

働き方改革と人材投資を通じた生涯現役社会の実現について

 歯科界においては歯科技工士、歯科衛生士等の関連職種の人材確保が慢性的な問題となっている。歯科医療、歯科保健の重要性が広く理解されている現状にあって、国においては歯科関連職種に関する職業告知、養成機関への補助金、学生への奨学金等、一億総活躍社会実現の一環として取り組んでいただきたい。

 また歯科分野におけるキャリアパスが不十分であることや、女性歯科医師の復職支援も日本歯科医師会で取り組んでいる重要課題の一つであり、国と協力の下での推進を図りたい。

成長戦略の加速等について

 特にビッグデータの活用により、歯と口腔の健康と全身の健康の関係がさらに明らかになるものと認識される。データベース構築と利活用に関する法整備の段階から提言していく機会を得ていきたい。

 さらに長寿社会における歯と口腔を含む疾病構造の変化に適切に対応し、健康寿命の延伸を図るには、歯科産業界のさらなる活性化による医療インフラ整備は不可欠であり、その観点に立って、歯科医療分野における成長戦略の議論を深めていきたい。

国土強靭化・防災、成長力を強化する公的投資への重点化について

 大規模災害時における、身元確認、避難所での歯科保健活動の重要性は明らかになっており、日本歯科医師会としても歯科情報の標準化等様々な取り組みを進めている。骨太の方針の方向性を踏まえた取り組みをさらに進めたい。

地域医療構想及び医療計画・介護保険事業計画の整合的な策定等について

 地域医療構想の実現には、かかりつけ医、かかりつけ歯科医の果たす役割が大きいことは論を待たない。その視点から地域医療構想の基盤となる地域医療介護総合確保基金については、病床機能の分化のみならず、在宅医療、在宅歯科医療の充実、医科歯科連携、多職種連携、地域歯科医師会の機能強化等に向けての活用が円滑に推進されることを求める。

健康増進・予防の推進について

 「生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者に対する口腔機能管理の推進など歯科保健医療の充実」の明記に関しては冒頭記載の通りであるが、その他「受動喫煙対策を徹底」については、国民をタバコの健康被害から守る立場からしても、先進国として当然の措置であり、さらに歯科界としては歯周病の悪化をはじめ、歯及び口腔に与える影響が大きいこと、子どものいる家庭での対策が極めて重要であると認識している。先進国として恥ずかしくない措置を講じた上で、2020年の東京オリンピック、パラリンピックが開催されなくてはならないと考える。

平成30年度診療報酬・介護報酬改定等について

 すでに同時改定に向けては各審議会での議論が本格化しており、日本歯科医師会として超高齢社会に相応しい医療、介護が過不足なく提供できることを目指して具体的な提案を開始している。診療報酬・介護報酬改定においては、そのために必要な財源の確保を強く求める。

薬価制度の抜本改革について

 近年の高額医薬品の上市や急激な市場拡大の具体例を国の財政状況に照らせば、国民皆保険制度を守る上で一定の制度見直しはやむを得ないことと考える。ただし、目的が限定されることからも、調査を含めて各方面に負担の少ない対応とするべきである。

 「当初想定を超える市場拡大が生じること」については、より精緻な「当初予測」ができるシステム構築が必要と考える。