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プレスリリース・活動報告

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アジア太平洋地域の歯科保健活動で意見交換
葛西WHO西太平洋地域事務局長らが日歯を訪問

左から日歯の尾松素樹常務理事、佐藤保副会長、堀憲郎会長、WHO西太平洋地域
事務局の葛西健事務局長、野崎慎仁郎事務局長室管理官

 WHO西太平洋地域事務局(WPRO)の葛西健事務局長と野崎慎仁郎事務局長室管理官が4月27日、日本歯科医師会(以下、日歯)を訪問し、堀憲郎会長、佐藤保副会長、尾松素樹常務理事とアジア太平洋地域における歯科の貢献や、高齢化が進む同地域への「8020運動」の発信等について意見交換しました。

 挨拶に立った堀会長は、WPROにおける口腔保健分野の専門家として日歯が推薦した原田有理子氏が採用されたことに謝意を述べました。また、2020年刊行の「2040年を見据えた歯科ビジョン」の具体的な取り組みの中で「アジア太平洋地域における歯科保健活動への支援チーム」を立ち上げたことに触れ、平成元年から30年余りにわたり、日歯が展開している8020運動を、高齢化がさらに進むアジア地域に発信すること等は、WHO西太平洋地域委員会「for the future」の4つの重点項目のうち「非感染性疾患・高齢化」に関わるとしました。

 葛西事務局長は、これまでの日歯の様々な支援に感謝した後、WPROの近況について、原田氏の採用もありコロナ禍で高齢者の診療ガイドラインにオーラルヘルスが記載されたことを報告しました。この分野が高齢者の未来に重要との認識が広がり、カンボジアでは診療ガイドラインを作り直す声が上がり、バヌアツ、フィリピン、ミクロネシア連邦等ではバーチャル(オンライン)トレーニングを行って、ガイドラインを作成したとし、自身も日本で携わった「8020運動」がアジアで活用できるのではないかと話しました。

 報告では、佐藤副会長から8020運動の成果や口腔と全身の健康の関連のエビデンスを含めたポリシーペーパー(AHWIN PAPERS)を発信したことなどを説明しました。尾松常務理事から、FDI世界歯科連盟、国際学術交流基金、SCRP日本代表選抜大会など日歯の国際渉外事業、アジア太平洋地域における歯科保健活動について報告しました。

▼歯科ビジョン展開してアジア太平洋地域に貢献
 堀会長は、我が国では超高齢社会を迎え、従来の形を治す歯科医療から機能を維持、回復する歯科医療の方向性を目指す中で、口腔の健康と全身の健康が密接に関わる多くのエビデンスが得られ、糖尿病、認知症、早産、循環器疾患等との関連性が分かってきているとし、今後は生涯にわたる口腔健康管理を通じて健康寿命の延伸に寄与して、元気な高齢者を増やし、働き手、支え手を増やして人口減少問題にも貢献していく目標を掲げていると述べました。その上で、今後日本と同様の高齢化が進むアジア太平洋地域にも日本から提供すべき情報が多いと認識していると話しました。 意見交換で、葛西事務局長は、病気にかかってから医療を提供するSick systemはいつまでも通用せず、自分の人生を通じて健康を維持するHealth systemに転換すべきとして、「8020運動」を通じた歯科のトランスフォームがそれに近い概念ではないかと指摘し、同運動はアジア太平洋地域を変えるエレメントを持っていると話しました。また、本事務局の強みは、フィリピン・マニラの本部と37の国の地域がつながり、15の国に事務所があることで、日歯の歯科ビジョン達成に助力できると述べました。

 なお、日本歯科医師会雑誌4月号に、原田有理子氏のWPROにおける口腔保健分野の専門家としての活動報告が掲載されています。

 
 
 
 
 

 

葛西 健 (かさいたけし)
世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局長2018年10月世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局長に就任。
慶応義塾大学医学部卒、岩手県出身