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プレスリリース・活動報告

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第21回中医協・医療経済実態調査結果
(個人立歯科診療所)に対する見解

 歯科医療機関に占める個人立歯科診療所割合は79.7%(平成28年)であり、従来からこの個人立歯科診療所が地域における歯科医療提供の中心的役割を果たしてきており、現時点においても変わりはない。

 その個人立歯科診療所における直近2事業年結果(平成27年、28年)では、医業・介護収益はわずか0.4%の増加にとどまり、医業・介護費用は0.3%減少していた(図1)。平成28年度診療報酬改定において歯科診療報酬本体は+0.61%であったが、個人立歯科診療所における平成28年度の保険診療収益は平成27年度と比較して、0.37%増にとどまっている。また、平成20年以降における保険診療収益をみても、依然として低い水準である(図2)。平成13年以降下降傾向にあった歯科医療費は平成21年以降微増(図3)となっているが、地域歯科医療を担う個人立歯科診療所の経営状況は依然として厳しい状況が続いている。さらに直近2事業年の医業費用の内訳では、医薬品費・歯科材料費・委託費・減価償却費は減少していた(図4)。

 医療技術や医療機器の進歩や安全対策、感染対策のニーズに伴い、小規模な歯科医療機関に求められる設備投資や研修の対応等の負担も増えてきている現状がある。このような状況の中で、個人立歯科診療所における経営状況は、これまで繰り返し指摘している通り、既に経営努力や経費削減努力が明らかに限界に達している。安全安心を前提とした歯科医療提供体制の根幹を揺るがしかねない状況であり、加えて求められている歯科医療、口腔健康管理の充実を図るために、速やかで大胆な対応が求められる。

 最後に調査方法において、調査票記入上の負担軽減として、青色申告書を参考として集計することとなっているが、個人立歯科診療所では多くが青色申告での回答に移行している。必要なデータ収集について、有効回答率をあげる方策とともに更なる検討が必要と思われる。

図1.個人立歯科診療所の医業・介護収益・費用および損益差額(H27,H28)(n=545)

図2.個人立歯科診療所の保険診療収益および損益差額の経年推移

図3.個人立一般診療所(無床)と個人立歯科診療所の損益差額の推移
*S56年からH21年までは6月単月調査の値を12倍した。H23年以降は年間調査の値である。

図4.個人歯科診療所における医業・介護費用の内訳(H27,H28)(n=545)