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プレスリリース・活動報告

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教育体制の充実など求める
萩生田文科相に要望書提出

左から柳川副会長、萩生田文部科学大臣、堀会長、瀬古口専務理事

 日本歯科医師会(以下、日歯)の堀憲郎会長と柳川忠廣副会長、瀬古口精良専務理事は7月8日、萩生田光一・文部科学大臣を訪問し、「令和3年度制度・予算に関する要望」(資料)を提出しました。
 要望書の説明に先立ち堀会長は、歯科医師の大部分は卒後、診療所の開設者や勤務医になるものの、近年の歯科医療へのニーズの多様化を考えると、行政職や病院勤務の歯科医師等の増員が必要であり、卒前教育の段階から、それを視野に入れた教育が必要であると述べました。また、新型コロナウイルス感染症で、全国の歯科大学・大学歯学部の附属病院では4月診療分で5割以上、5月分で6割以上の減収となり、患者の減少で歯科学生の臨床実習が実施できない事態を生んでいると説明しました。
 柳川副会長からは、令和3年度制度・予算に関する重点的な要望項目(文部科学省関係)として、次の4項目を掲げて説明しました。

①安心安全な歯科医療提供を確保するための、歯科大学・歯学部における教育体制の充実及びそのための予算措置。
②シームレスな歯科医師養成に向け、共用試験に合格した歯学生(Student Dentist)が行う歯科医行為に関する法的な整備。
③学校歯科健診データと厚労省所管の歯科健診データとの連携によるPHRの体制整備に向けた事業への予算措置。
④学校教育現場におけるスポーツマウスガード普及のための予算措置。

 ①については、診療参加型実習を含めた、教育体制の充実を図ること、また新型コロナウイルス感染拡大の状況に対応した教育のICT化の推進、②については、その前提として、全ての歯科大学・歯学部と共用試験機構(CATO)との緊密な連携の下、共用試験を公的化すること、③については、厚労省所管の歯科健診データと同様に、学校歯科健診データについて「口腔診査情報標準コード仕様」の活用を実証するための予算措置、④については、スポーツ指導者(教員等)に対してスポーツ歯科研修を実施すること、またクラブ活動等におけるスポーツマウスガード着用を推進することをそれぞれ要望しました。

 これに対して、萩生田大臣は、まず日歯の新型コロナウイルス感染症対策に謝意を表した上で、大学病院等にはコロナ対応で歯科診療ができないところもあることや、開業医も大幅な収入減であることに理解を示し、厚労省とも連携して補正予算で対応しているため、オールジャパンの取り組みとして歯科医師の先生方にも協力を願いたいと述べました。
 要望事項の①については、コアカリキュラムを平成28年度に改定した際に、診療参加型実習を前向きに進めているとし、現在は特にコロナの影響で遠隔授業の充実、後押しなどをしているとしました。また、第一次と第二次補正予算で合わせて約100億円計上して、6月から各大学より応募を始め対応しているので、歯学部でも活用いただきたいと述べました。
 ②については、共用試験(CBTやOSCE)を通じて、できるだけシームレスに歯学生に現場に出てもらえるような環境づくりが重要との理解を示し、厚労省と共にしっかり取り組みたいとした上で、医学部もCBTが必ずしも日本中リアルタイムで動かないこともあるなどデジタル社会の欠陥があると指摘しました。また、アフターコロナの日本の形として骨太の方針2020に、ICT環境に十分対応できる全ての社会制度の見直しを盛り込むと説明し、質の高い歯科医師の養成に向けてしっかりサポートしたいと話しました。そして、現状の養成機関は、卒業間近に国家試験のための座学に戻り、合格後にまた研修のやり直しになることを問題視した上で、しっかり対応していきたいと述べました。
 ③については、「口腔診査情報標準コード仕様」を使い、PHRの普及に併せて歯科も包含していくことが一番良いとした上で、学校歯科健診9年間の記録を5年間保管の後に処分するのでは、かかりつけ歯科医がない限りその期間のデータがなくなることに言及。万が一のことを考えると必要なパーソナルデータであるため個人情報の管理を徹底した上で、進めていきたいとしました。
 ④については、マウスガードは接触が多いスポーツの現場では義務化されている競技もあるが、義務化されていない競技でも積極的な普及を促しているとした上で、大切なことはスポーツ指導者の教員にマウスガードやスポーツ歯科の知識が必要で、それに係る研修は歯科医師会にお願いしながら充実していきたいと述べました。

 萩生田大臣は、4項目いずれも時宜を得た提案と受け止めて対応していきたいとしました。

 最後に堀会長は、日歯の「2040年を見据えた歯科ビジョン」を今秋に公表する予定で、同ビジョンの中に、歯科医師の働く場の拡大や、歯科医師需給問題についても方向性を記し、具体的な提言等も行うことへの協力を求めました。

(資料)令和3年度制度・予算要望<重点的な要望項目>【文部科学省関係】