2020年06月16日
新型コロナウイルス感染症における緊急事態宣言の解除を踏まえて、日本歯科医師会は6月2日、「今後の歯科診療における留意事項等」を取りまとめ、都道府県歯科医師会を通じて6万5,000人の会員に周知しました。
歯科医療現場では、スタンダードプリコーション(標準予防策)を徹底すると同時にマスク等の衛生用品の供給が厳しいなかで、様々な工夫をして最大限の感染防止に努めてきました。また、日本歯科医師会においても、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて臨床現場の感染防止対策などについて周知を図ってきました。
今回の留意事項は、通常診療でこれまで講じてきた感染防止措置の中から有効とされる対応に関して、①診療に関する事項、②待合室などの診療環境に関する事項、③スタッフに関する事項を日本歯科医学会連合の見解を得えながら、地域や各歯科医療機関の状況に合わせて対応していただくために作成したものです。
なお、これらを含む内容について日本歯科医学会連合で取りまとめてホームページで公開しています。
○一般社団法人日本歯科医学会連合
「コロナ時代の新たな歯科システムを 新機軸―歯科における感染予防―」
http://www.nsigr.or.jp/coronavirus_protect.html
また、今後の第2波、第3波の感染拡大を想定した「新たな感染症を踏まえた歯科診療の指針」の策定に向けて検討していることを併せてお知らせします。
「今後の歯科診療における留意事項等」の内容は、以下の通り
【診療に関する留意事項】
〇診療室内のエアロゾル対策
・口腔内バキュームの確実、的確な操作。口腔外バキュームの活用
・エアタービン、ハンドピース、超音波スケーラーなどの適正な水量調整
・ラバーダムの活用
〇手袋、ゴーグルまたはフェイスシールドについて
・グローブ装着前後の手指消毒の徹底
・眼鏡ではなくゴーグルまたはフェイスシールドの積極使用
〇歯科用ユニット、周囲、その他接触部位の消毒
・ドアノブなど高頻度接触部位、レセプトコンピューターなどの周辺機器、トイレ周り等の清拭
〇印象材、技工物等の消毒
・印象材への適切な水洗(アルジネート印象材では、120秒以上、シリコーン印象材で30秒以上の水洗)または0.1~1.0%次亜塩素酸ナトリウム溶液、グルタラール(グルタルアルデヒド)溶液への浸漬
・完成した技工物の消毒
〇X線撮影について
・可能な場合は口外撮影法の活用の検討
〇患者さんの健康管理
・体調、味覚・嗅覚の異常の有無の確認、体温チェック
〇治療前後の含嗽(口、喉のうがい)
・治療前後の患者さんの消毒薬による含嗽
【診療環境に関する留意事項】
〇密集、密接、密閉の回避
・診療スケジュールの管理による待合室、診療室の⼈数の調整
・定期的な換気の徹底
〇接触感染予防
・待合室・診療室の遊具などの撤去
・待合室・診療室の雑誌、本など消毒困難なものは置かない
・患者さんの手洗い、手指消毒の徹底。玄関入口等への手指消毒剤の設置
〇受付環境
・受付職員へのマスク、フェイスシールド等の装着
・治療時以外の時間の患者さんへのマスクの装着要請
・受付におけるビニールシートやアクリル板パーテーション等による遮蔽
※ただし遮蔽内部の換気状態に注意
【スタッフに関する留意事項】
〇体調管理
・毎日の検温(朝、夜)と報告システムの構築
・倦怠感などの症状等の報告と対応の流れの徹底
〇医局内での注意事項
・医局における換気、空気の清浄化
・対面での食事等への配慮
・密接状態での会話の回避
・診療着の適切な交換管理
・感染防止対策に関わる情報の共有