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プレスリリース・活動報告

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令和6年度厚労省予算概算要求についての見解

 8月25日に公表された令和6年度の厚生労働省全体での予算概算要求額は約33兆7,300億円であった。そのうち、歯科保健医療関連の概算要求総額が令和5年度予算額の13%増の43億8,400万円であることについて、日本歯科医師会は、歯科保健医療施策をより充実するために必要な要求が行われていると評価する。

 今回、歯科関連において注目すべき点としては、「骨太の方針2023」に記載されている「生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)に向けた取組の推進」と「歯科保健医療提供体制の構築と強化」のなかでも、健康局の健康増進事業である歯周疾患検診において、対象年齢を拡大要求したことは健康局健康課をはじめ関係部局を含めた努力として評価したい。

1)健康増進事業(健康局所管歯科保健関連事業)については、歯周疾患検診の対象年齢の拡大として、現行の40・50・60・70歳に20・30歳を対象者に加えることとなっている。これは、国民皆歯科健診の推進のための施策の一つとなることが期待され、より幅広い年代への歯科健診の拡大のきっかけとなると思われる。各市区町村での着実な歯科健診の実施とともに、歯科健診後の必要な歯科治療や歯科保健指導へつなげ、歯科疾患の予防・重症化予防を進めていくことが不可欠であると考える。

2)生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)推進事業(要求額5.7億円)について、特に就労世代の歯科口腔保健の推進においては、「レセプトデータを活用した評価分析事業」が新規に要求されるなど歯科健診の効果の検証や普及・充実に期待する。また、前回に引き続き「歯周病等スクリーニングツール開発支援事業」についても、唾液検査などの簡易キットを含めた新たな健診方策の開発や推進を期待したい。さらに、「歯科疾患実態調査(令和6年調査)」も新規に予定されており、我が国の歯・口腔の健康状態をより正確に把握するため、対象地区の拡大については特に重要であることから注目している。

3)歯科保健医療提供体制の構築と強化では、「歯科医療提供体制構築推進事業」および「地域拠点病院・地域拠点歯科診療所施設整備事業」としてそれぞれ拡充されており、医科歯科連携のみならず障害児者等への歯科医療提供体制の整備や災害時・新興感染症発生時等の歯科医療提供体制の構築のための予算となっている。これらは各地域における歯科医療提供体制の課題を解決するための重要な予算であり、多くの地域に存在する課題を解決し、地域特性に応じた体制構築に向けて獲得を期待したい。

 その他、歯科医師臨床研修のための関係費用として、「共用試験(CBT)公的化に係る体制整備事業」、歯科医療従事者等の資質向上では、「歯科専門職の業務の普及啓発事業」が新規提案されており、歯科専門職としてのやりがいや魅力ある業務を周知することは非常に重要と考える。また、歯科保健医療において重要なパートナーである「歯科衛生士・歯科技工士の人材確保推進事業」は喫緊の課題であり、実効性のある成果を期待したい。

 最後に、我が国の歯・口腔の健康をさらに推進する上で、本概算要求の通り財源を確保し、予算を確実に執行することが最も重要であり、日本歯科医師会としても協力を行っていきたい。