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プレスリリース・活動報告

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「経済財政運営と改革の基本方針2023」への日本歯科医師会の見解

 本日閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太の方針2023)」について、以下の通り日本歯科医師会として見解を示す。

 本会は、新型コロナウイルス感染症に対峙しつつ、ウイズコロナ・ポストコロナ時代を見据え、「感染の防止対策としての口腔健康管理」といった具体的な政策提言を行ってきた。また、口腔の健康が全身の健康や健康寿命の延伸につながり、国民一人ひとりの健康に寄与できること、そのために生涯を通じた歯科健診法制化を含むさまざまな提言等を行ってきた。
 本会が提言・実行してきた内容は、今回の「骨太の方針2023」と密接に関わるものが多く、それらを中心に今後とも具体的な提言をして参りたい。

 「骨太の方針2023」では、
 リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進を図る。
 全身の健康と口腔の健康に関する科学的根拠の集積・活用と国民への適切な情報提供、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)に向けた取組の推進、オーラルフレイル対策・疾病の重症化予防につながる歯科専門職による口腔健康管理の充実、歯科医療機関・医科歯科連携を始めとする関係職種間・関係機関間の連携、歯科衛生士・歯科技工士等の人材確保の必要性を踏まえた対応、歯科技工を含む歯科領域におけるICTの活用を推進し、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む。また、市場価格に左右されない歯科用材料の導入を推進する。

 としてまとめられ、前年の「骨太の方針 2022」を踏襲し、本会が提言してきた内容の全てが反映された

歯科に関わる具体的対応について

 「リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携を図る。」については、今回の「骨太の方針2023」で初めて記載されたが、医療・介護の同時改定を踏まえ、摂食嚥下や口腔健康管理に係る連携のさらなる推進に期待したい。
 「全身の健康と口腔の健康に関する科学的根拠の集積・活用と国民への適切な情報提供」については、最近のビッグデータの分析調査を行い、口腔の健康と全身の健康の関連についてのエビデンス、口腔健康管理が感染予防につながるエビデンス等もさらに収集、整理しており、これらを活用し、国民に対して発信していく。
 「生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)」は、「取組の推進」と記載され、今後は、妊産婦、大学生、労働者、成人期、高齢期等における歯科健診の制度化および拡充を引き続き強く働きかけ、歯科保健医療対策の推進を図っていく。
 「オーラルフレイル対策」は、「2040年を見据えた歯科ビジョン」で「2025年までにその認知度を50%にする」との目標値を示しており、疾病の重症化予防とともにその考え方の普及に努め、歯科界が一丸となって展開し、国民と共に推進していく。
 「歯科医療機関・医科歯科連携を始めとする関係職種間・関係機関間の連携」については、歯科医療機関の機能分化や連携、地域完結型の歯科医療の構築といった地域の状況に応じた歯科医療提供体制を構築する上でも重要であり、さらに、今回の新型コロナウイルス感染症対策の検証を行うとともに、激甚化、複合化する災害への対応についても、避難所での誤嚥性肺炎等による災害関連死防止のための口腔健康管理や医療連携のあり方についての議論を深めつつ、引き続き災害派遣等に即応できる体制を充実させていきたい。
 「歯科衛生士・歯科技工士等の人材確保の必要性を踏まえた対応」は、歯科医療提供において、歯科衛生士や歯科技工士の果たすべき役割はますます重要になってきているものの、いずれも養成校への受験者の減少や、早期離職者も増加してきており、歯科医療現場での人材不足が生じている。今後の生産年齢人口の減少の加速を踏まえれば、両職種の必要数(需給)の把握など、これまで以上の対策を強力に推進する必要がある。
 「歯科技工を含む歯科領域におけるICTの活用を推進」について、新興感染症拡大下における、オンライン歯科診療等の推進も速やかに対応を進めるべきと考える。なお、ICT利活用におけるデータセキュリティの問題等について、これまで慎重な議論を重ねてきた部分を拙速に推進することなく、国民の一層の理解を得ることが極めて重要である。そのような前提で、歯科においても、PHRなどの健康情報や医療情報の利活用についてさらに議論を深め、例えば歯科健診内容等を統一してデータ活用することにより歯科口腔保健の推進に資することを期待する。
 また、今回の「骨太の方針2023」では、医療DXや診療報酬改定DXの実現に向けた取組の推進が記載されており、これらにより国民・患者の安心・安全でより質の高い医療提供が可能となり、歯科医療機関にとっても負担軽減につながることからその議論を深める。なお、システムの導入や維持のための費用に関しては必要かつ十分な支援がなされるべきと考えている。
 「市場価格に左右されない歯科用材料の導入を推進」については、歯科用貴金属の素材価格の変動が歯科医療機関に与える影響を緩和するため、素材価格に応じて年4回改定を行うなどの見直しが行われてきたが、これにも限界がある。これまでも産官学の協力により非金属の歯科用材料の導入を図ってきたが、抜本的な対応も国に求めたい。
 なお、「次期診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定においては、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担の抑制の必要性を踏まえ、必要な対応を行う」については、厳しい経営状況にある多くの小規模歯科診療所において、物価高騰や厳格かつ恒常的な感染防止への対応が必要であり、国民に安全・安心な歯科医療を提供するためには、次期トリプル改定等における財源確保は不可欠である。また、少子化対策のための財源は診療報酬を含む社会保障費の抑制等で捻出することを前提とした議論をすべきではなく、人口減少に対応する少子化対策と社会保障の充実の両方の視点が必要である。

 最後に、本会は、医療、介護分野の物価高騰・賃金上昇に対応する取組を進め、国民に不可欠な医療を確保することは極めて重要であると考えている。国民の健やかな生活を支える立場から、歯科保健医療の提供、口腔健康管理の維持・推進により、貢献していきたい。

・経済財政運営と改革の基本方針2023について(内閣府)
 https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2023/2023_basicpolicies_ja.pdf