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令和元年度 歯科情報の標準化に関する研修会

歯科情報の標準化に関する研修会
(令和元年度厚生労働省「歯科情報の新たな利活用に係る実証等」事業)

<趣旨>
災害時等において、身元不明遺体が有する歯科所見と歯科医療機関(病院、歯科診療所)が 所有する生前の歯科診療情報を照合・鑑定することによる身元確認の有効性が示されていますが、歯科診療情報の標準化が図られておらず、身元確認作業に困難をきたした事例が過去には見受けられたため、「口腔診査情報標準コード仕様」が策定されました。
本研修会は、歯科医療関係者の皆様(歯科医師、歯科関係ベンダ等)に歯科診療情報の標準化の意義や必要性について理解を深めていただき、電子カルテ又はレセプトコンピュータに実装いただく事を目的に開催いたしました。

開催日時

東京会場:令和2年2月22日(土)14時~16時
大阪会場:令和2年2月29日(土)14時~16時
※大阪会場は新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い中止

主催

日本医師会ORCA管理機構株式会社(本事業の受託者)

後援

公益社団法人 日本歯科医師会

研修会コンテンツ

1.

口腔診査情報標準コード仕様の概要について
(日本大学 松戸歯学部 特任教授 齊藤孝親氏)【PDF資料】

2.

口腔診査情報標準化の現状と今後の展望
(公益社団法人日本歯科医師会 嘱託 玉川裕夫氏)【講演: 27’35”】

3.

「口腔診査情報標準コード仕様」の新たな利活用方策について
(東京大学大学院 医学系研究科 特任講師 井田有亮氏)【講演: 22’09”】

4.

東京会場でのQ&A

1.口腔診査情報標準コード仕様の概要について

口腔診査情報標準コード仕様の概要について(PDF資料)

2.口腔診査情報標準化の現状と今後の展望
3.「口腔診査情報標準コード仕様」の新たな利活用方策について
4. 東京会場でのQ&A
質問身元確認において、生前情報と遺体情報を照合するということが大規模災害等では有用だと講演の中でお話がありました。
その中で生前情報のデータを取りまとめることについて、クラウドに健診情報や歯科診療所の情報等がデータとしてまとめられるというのは、厚生労働省標準規格として認定されると一気に整備が進むのでしょうか?
それとも認定後にも更に議論が必要で、ハードルがあるのかについて教示いただきたい。
回答厚生労働省標準規格の認定後については、まだ決まっていない状況です。まず、厚生労働省にて利活用に関わる法的側面の整理を実施して頂かなければならないと認識しています。
その整理が完了した段階がご質問の内容の段階にあたるかと思います。
ただ、いつ法的整理が完了した段階が来てもよいように、先に準備を進めていきベンダの皆様に対応をお願いしていかなければならないと認識しております。
質問現在準備を進められている段階の中で、
今後どういった部分を整理していかなければならないかということについて議論はされているのでしょうか。
例えば日本歯科医師会の会員の理解や、国民の理解、また国としての理解など様々なことを整理していかないといけないと思うが、
整理していく部分など分かる範囲で教えて頂きたい。
それとも認定後にも更に議論が必要で、ハードルがあるのかについて教示いただきたい。
回答実証事業の委員会で厚生労働省、日本歯科医師会、関係ベンダーが集まって、検討を進めているところがございます。その中で、法令整備の問題が一番重要だということが指摘されています。
ただ法令整備が実施されたとしても、地域における医療情報連携ネットワークが十分に浸透していない状況も踏まえると、どこにデータを保管するのかということが難しい問題となってきます。講演の中で、仮想環境上でデータを保管する仕組みを作ったというお話がありました。仮想環境で作られたデータを保管する仕組みについては、新たに地域で医療情報連携ネットワークが作られた際にその仕組みを移植して展開するということもできます。
将来どのような状況になっても対応できるように準備を進めているところでございます。
法令整備の議論についてはまだ時間を要するところもございますが、進められる部分については検討や議論を進めていっております。

過去の議論を申し上げると、東日本大震災以前から課題として認識されている部分であり、内閣府に設置された検討委員会が設置されて平成26年から2年間にわたって議論が行われました。
その中では具体的には明記されませんでしたが、法整備の必要性をはじめデータベースや歯科診療情報のバックアップの話が議論として挙げられました。公的機関や第三者機関等がデータベースを所有するということを念頭に議論が進められていましたが、当時は実現が難しいとされ、実現されませんでした。その後、医療情報のバックアップをクラウドに保管するということが一般的に行われるようになってきたことからも実現に近づいていると思っています。ただ、申し上げた課題はまだ残っていると考えており、今後の議論として進めていく必要があります。死因究明等推進基本法が制定され、令和2年4月1日付で施行されることに伴い、所管が厚生労働省に移管されることになっています。死因究明等推進本部が厚生労働省内に設置され、厚生労働大臣が本部長となります。死因究明等推進計画が1年程度をかけて作成される予定と伺っております。日本歯科医師会からも委員が選出されると想定されるので、歯科情報の身元確認への活用やその際の課題の提起を行っていきたいと思います。
質問今後のデータ利活用に興味があります。
標準化された後にどのように利活用していくのかということについては、確かに多くのアイデアを集めて議論していくのがよいと思います。
一点お伺いしたいのは、HL7FHIRの日本版というキーワードが講演の中でありましたが、海外ではある程度進展しているということなのでしょうか。
回答HL7FHIR自体については、時間の関係で言及いたしません。
HL7FHIRの中では、例えばすでにUS Core Implementation Guideというアメリカにおける実装ガイドというものがあります。各国の医療情報の実態に合わせてベンダー向け実装ガイドが策定されています。
日本においてもSS-MIX2ストレージなどの独自の標準化が進められている部分もあるため、現在の医療情報の標準化の状況に合わせて日本語版のimplementation guide (実装ガイド)を策定する活動が2019年秋ごろから開始されています。
活動には医療系ベンダー、研究者および大学院生などが参画しており、産学連携して策定が進められている状況です。

本コンテンツは、日本医師会ORCA管理機構株式会社が主催し、公益社団法人日本歯科医師会が後援して、令和元年度 厚生労働省「歯科情報の新たな利活用にかかる実証等」事業として2月22日に実施したものを収録したものです。

2月29日(土)の大阪会場での開催は、感染症の流行防止の観点から中止となりました。

【チラシ】歯科情報の標準化に関する研修会