日本は生涯を通じた切れ目のない歯科口腔保健に関する施策を展開し、国民皆保険制度への歯科治療の統合、さらには、コロナ禍においても感染防止策を強化しつつ、必要な歯科医療提供を維持するなど、世界の口腔保健を牽引してきた。実際に、2022年に出版されたWHO世界口腔保健レポートにおいても、世界からの成功事例として日本の8020運動の取り組みが紹介されている。また日本政府、日本歯科医師会ならびに日本で唯一の口腔保健に関するWHO協力センターである新潟大学歯学部は、2021年の世界保健総会における歴史的な口腔保健決議の採択に続く、昨今の国際保健における口腔保健の機運の高まりに、政治的・人的・技術的に大きく貢献している。
2023年に採択されたWHO世界口腔保健行動計画は、2030年までに「すべての人が、適切な口腔健康増進、口腔疾患予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる」こと、すなわち、口腔保健のユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)達成を目指している。具体的には、2030年までに達成すべき11の世界目標を定めており、各国での口腔保健向上へ向け、行動計画の実施が喫緊の課題となっており、世界の口腔保健を牽引する日本からの積極的な知見の発信が求められている。実際にフィリピンでは日本の8020運動を基に、7020運動が発足する予定である。トンガではJICAや日本の歯科NGOが小学校でのフッ化物洗口や、フッ化ジアンミン銀によるむし歯の進行抑制へ向けた活動を支援しており、2023年に行われた第15回太平洋保健大臣会議にて、トンガ政府はWHOからベストプラクティス賞を受賞している。WHOの組織は、スイス・ジュネーブのWHO本部及び総会が定める6地域の事務局(アフリカ(AFRO)、アメリカ(AMRO)、南東アジア(SEARO)、ヨーロッパ(EURO)、東地中海(EMRO)、西太平洋(WPRO、日本を含む))から構成される。こうした中、WHO口腔保健専門官は現在4名のみ(本部に3名、アフリカ地域事務局に1名)だが、このうち、本部の1名、アフリカ地域事務局1名のWHO口腔保健専門官は日本人歯科医師であり、WHOにおける口腔保健推進の活動に大きく寄与している。
時間 |
内容(予定) |
演者(予定) |
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16:00 – 16:05 |
開会の挨拶とシンポジウムの目的説明 |
日本歯科医師会会長 |
16:05 – 16:10 |
来賓挨拶 |
厚生労働大臣 |
16:10 – 16:25 |
我が国における歯科口腔保健の取り組み |
厚生労働省医政局歯科保健課 |
16:25 – 16:45 |
WHO世界口腔保健行動計画と活動ロードマップ、西太平洋地域での取り組み |
WHO本部 |
16:45 – 17:05 |
WHOアフリカ地域事務局の目指す今後の口腔保健の展望 |
WHOアフリカ地域事務局 |
17:05 – 17:25 |
質疑応答・まとめ |
日本歯科医師会 |
17:25 – 17:30 |
閉会の挨拶 |
日本歯科医師会常務理事 |
無料
・事前登録制
・受付期間:2024年(令和6年)2月12日(月)~3月18日(月)
・受付方法:参加申込書をフォームにて登録する。
https://www.jdaform.jp/form_2024_seminar_001