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歯科放射線の歴史

 1895年の11月、ドイツのWilhelm Conrad Roentgen がエックス線を発見したのは有名な話です。エックス線が厚いカーテンを透過して蛍光板に到達するのを見て、19世紀の最大の発見がなされたわけです。その年の12月にRoentgenは、夫人の指のエックス線写真を学会に提示し、大きな反響を得たそうです。その際に夫人は左手に指輪がはめていたので、その後当分は指を撮影する時には大きな指輪が用意してあって、それをはめて撮影するしきたりがあったという逸話も残っています。

 歯科撮影についてですが、こちらはやはりドイツのOtto Walkhofが最初の歯の撮影をしたというのが定説です。その写真が今でも残っています(残念ながら版権の関係でお見せできません:参考文献Oral Radiology, Goaz W. and White S. C., Mosby、第1版または第2版、注:3版以後には記載がありません)が、歯の根っこの部分(歯根)の写りが不十分です。今は誰が見てもいい写真とは言えませんが、最初はそのようなものであったことは仕方ないと思えます。撮影には、小さく切った乾板を黒紙で覆い、口の中に数分入れっぱなしにし、エックス線は出しっぱなし、その間、撮影された人は動かないで待っていた…坂本竜馬の写真を見たことがある人は多いと思いますが、それと同じような苦労があったようです。

  現在ではエックス線の発生効率が上がり、またフイルムの質が向上したので、あっという間に、また少ない被ばくでデジタル画像ができるようになっています。歯科医師にとっても、フイルムを自分で切ってパッケージを用意する必要がなくなり、撮影も短時間になり、現像も楽になりました。さらに今では、デジタルで現像液の必要もなく、コンピュータ上に大きく画像を出せるようになりました。発見から100年を経った今現在見られるような利用を、初期の苦労しながら撮影していた人達は、夢見ていたに違いありませんが、このような進歩についてはびっくりすることでしょう。

  「歴史」には将来展望がつきものです。歯科放射線学の将来は一体どのようなものでしょうか?放射線という言葉は将来残るでしょうか?将来は、エックス線を使った検査は二の次になるのではないかとも考えられています。超音波診断やMRIの発展があり、エックス線に被ばくしない検査が発達する現在ですが、骨の中を見るのには現在、エックス線は欠かすことができません。未来にはとんでもない発明があり、エックス線を使わないでも骨の中を見ることができるようになるのではないかと想像されています。しかしながら現在は、手軽に、安く、また比較的安全に検査ができるエックス線検査に歯科医師は頼らざるを得ないのが現状です。

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