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かみ合わせの異常

はじめに

かみ合わせの異常は、上下の歯の位置関係が正常でなくなったことを指します。専門的には、様々なかみ合わせの異常があります。成長とともにかみ合わせが悪くなったという場合は、歯の位置異常及び上下の顎の位置異常があります。あるいは口が閉じなくなったという場合は、顎関節症と言われる病気です。しかし、「かみ合わせの異常」として一般的に皆さんが感じるのは、奥歯のかみ合わせに問題があるという場合でしょう。したがって、今回のテーマは、ある時から急にかみ合わせが変わって違和感があるとか、かみ合わせが気になることに焦点を絞ります。

歯医者さんで詰め物をしたり、被せ物をしたりした後に、かみ合わせが高いとか、引っ掛かるというような症状が出れば、それは原因が詰め物や被せ物なのでそれを調整してもらえば済みます。ところが患者さん自身の行動が原因でかみ合わせの異常感が生じることがあります。それは歯ぎしりです。

歯ぎしりの種類にはどのようなものがあるのか

「歯ぎしり」といっても色々なものがあります。専門的な用語でブラキシズムと言いますが、これはグラインディング(上下の歯と歯を左右に擦り合わせること、歯ぎしり音がしない場合もある)とクレンチング(一か所でかみしめること)などがあります。

その他の歯ぎしりの分類には、強い力で行う場合や弱い力で行う場合、また一時的に行う場合と長時間行う場合とがあります。さらに夜間就眠時に行う場合と起きている時に行う場合、あるいは両方の場合があります。

上記のような歯ぎしりは、誰でも行っています。問題はその程度(強さ、頻度及び持続時間)です。特に夜間の歯ぎしりは無意識に非常に大きな力で行う場合があり、歯に障害が及ぶ場合(歯が移動したり、動揺することがあります)、筋肉に障害が及ぶ場合(筋肉痛、口が開かない、頭痛などが起こることがあります)及び顎の関節の障害(関節円板の位置異常が生じ、かみ合わせがずれたり、関節で音がしたりすることがあります)。すなわち歯ぎしりを行った結果として、歯、筋肉(下の顎は頭がい骨や上の顎から筋肉によって釣り下がっていると言っても過言ではないので、筋肉が異常に収縮すると顎の位置も変わる)あるいは顎の関節に障害が及びかみ合わせの異常が生じます。

また昼間に弱い力で無意識に歯ぎしりをしていることもあります。この場合にはかみしめのことが多いようです。通常は上下の歯の間には前歯で2mm程度の間隙があります。すなわち上下の歯は通常は接触していません。かみ合わせがおかしいという方によく上下の歯を時々接触させて、自分自身でかみ合わせを確認している場合がありますが、これは良くない習慣です。

自分がかみしめを行っているかをどのような方法で調べるのか

普段、自分がかみしめを行っているかどうかを把握している方はあまりいないでしょう。ではどうすれば自分がかみしめをしているかどうかを知ることができるのでしょうか?

人間は普段何もしていないときには、唇は閉じていますが、上下の歯の接触はありません。2〜3mm程度の隙間があります。したがって、今、あなたの上下の歯が接触しているようであれば、強弱の差はあれ、それはかみしめを行っているということです。他人の場合には観察することによって分かります。

その方法は咬筋というかむ時に用いる筋肉がかみしめを行えば膨れるので、その部分の観察を行います。図1の破線で囲んだ部分、いわゆるあごのえらの部分がその場所です。女性の場合には、ふくよかで分かりにくい方が多いです。

我々が専門的に調べる場合には、筋電図という機器を使って、正確に調べます。しかしこの機器は、どの歯科医院や病院にあるというものではありません。

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