2017年6月29日
日本歯科医師会(会長:堀憲郎)は6月28日(水)、厚生労働省を訪問し、適切な歯科医療提供体制を構築して、健康寿命の延伸を図るべく平成30年度制度・予算に関する要望書を塩崎恭久厚生労働大臣に提出しました。
塩崎恭久厚生労働大臣(中央)に要望内容を説明する
(左から)村岡宜明専務理事、堀憲郎会長、柳川忠廣副会長、瀬古口精良常務理事
要望書では、次の5項目を重点的に要望するとともに、歯科口腔保健推進室の省令室への昇格について理解と協力を求めました。
①地域に密着した歯科医療提供体制の構築
②平成30年度診療報酬・介護報酬改定への十分な財源の確保及び医療介護総合確保基金の活用
③生涯にわたる歯科健診の充実
④必要な各種審議会への歯科医師の参画
⑤歯科衛生士・歯科技工士の人材育成と確保
柳川忠廣副会長は、重点5項目の詳細を説明。①について、在院日数の削減効果なども示しながら、困難な障害者歯科診療や在宅歯科医療の後方支援を担う、病院歯科の充実を訴えました。
②については、十分な財源の確保を求めるとともに、日歯が中医協に提出する予定のタイムスタディー調査結果の詳細分析資料を踏まえた歯科医療技術料の適切な評価を求めました。
③については、「骨太の方針 2017」に生涯を通じた歯科健診の充実が明記されたことに触れた上で、成人歯科健診や歯周疾患検診の受診率が低いことや、NDBの検討から特に40~50歳代が歯数と医科医療費とに強い相関関係があることなどを示して、全国民的な皆健診体制 の構築に協力を求めました。また、初めて歯科が特定健診の質問項目に入ったことに伴う特定保健指導における歯科対策の充実を訴えました。
④については、社会保障審議会介護保険部会やがん対策推進協議会、また地域包括ケアシステムを議論する各種協議会への歯科医師の参画に理解を求めました。
⑤については、歯科衛生士・歯科技工士養成校への支援の充実を求めるとともに、歯科医療現場での歯科衛生士不足の窮状を訴え、看護師等と同等の支援を要請しました。
堀会長は、現在訓令室に位置づけられる歯科口腔保健推進室の省令室への昇格を強く要請。省令室への昇格により、省庁等との横断的な連携や各地方公共団体における口腔保健支援センターの設置、国民に対する啓発に取り組みが進むことを期する、と訴えました。また、同室が歯科保健医療の充実を図るための司令塔になることから、室長に歯科医師を起用するこ とや室のマンパワーの充実なども求めました。
要望を受けて塩崎厚生労働大臣は、「高齢社会の中ではいずれも重要な事柄」と述べ、理解を示しました。