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歯の神様

人面石(群馬県)

 今からほぼ10数年ほど前のことです。群馬県藤岡市の井上氏(故人)所有の人面石は当時大きな話題となって賑わいました。盆栽好きの井上氏が日課の散歩の途中で、路傍の石を拾って帰り、水で洗ったところ、両面に人面が現れました。気味悪く思い捨てようと近くのお寺へ持って行ったところ、住職から「この石は”人の苦しみを助けてくれる石”だから、大切に保存し供養するように」と教わりました。

 それ以来、伝え聞いた人々が「あらゆる苦しみ痛みの治癒」を祈願するようになりました。歯痛で悩む人は、人面石に水をかけこの水を用いて顔を湿布したり、うがいをする。内臓関係の人はこの水を飲む。そして治癒した際にはなにがしかの謝礼を仏前に供えていくのです(人面石は仏壇に安置されています)。

味噌なめ地蔵(群馬県)

天桂寺の味噌なめ地蔵
天桂寺の味噌なめ地蔵

 群馬県沼田市天桂寺に、赤い衣の前掛けをつけた座像が2体並んでいます。口のまわりには味噌が塗りつけられており、石像の脇には「味噌なめ地蔵―よろずのいたみとりのぞく」と書かれた標識が立てられています。

 この像、風邪をひいたり歯の痛む時、石像の頬や口のまわりに味噌を塗り祈願すれば治ると言い伝えられて有名です。

 一説によれば、歯痛や頭痛の折の発熱に際して味噌は熱冷ましの効果がある、としていつの頃からか、この風習が生まれたと言われています。

 この地方には「みそつけじいさん、みそづけばあさん」と称する類似の地蔵さんが多く点在しております。この他、「あごなし地蔵」「むし歯の神」が多いのも、昔からこの地方独特の民間信仰によるものなのでしょうか。


「北向き地蔵」で有名 歯痛止め地蔵(群馬県)

北向き地蔵
北向き地蔵

 群馬県太田市の呑龍様近くに「歯痛止め地蔵」があると聞いて訪ねました。呑龍様の裏側の西方に教受院・常照寺があります。その境内に、身の丈2メートルほどの大きな地蔵があり、「北向き地蔵」と言われて有名な地蔵尊ということです。この地蔵は大変に「まんじゅう」を好むと言い伝えられていて、歯痛止めの願いを叶えられた時にはお礼に「まんじゅう」を供えることになっているそうです。

新治村の「行人塚」(群馬県)

 群馬県利根郡新治村入須川2447の裏山の雑木林の中にある「行人塚」は延宝8年(1680年)江戸時代前期に、この地において断食修行に伴い、生きながらに埋葬された行者の供養塚と言われています。生前に「口の中の病気はいつでも治してやるから、願掛けをするように・・・」と言い残していたことから、この地に塚を建て祀ったと言われています。1年に1本の線香を供える人はむし歯で苦しまない、との記録があるそうです。

塔姿・石造三層塔 相ケ窪の歯仏様(群馬県)

 群馬県勢多郡新里村山上相ケ窪。国の重要文化財・塔姿・石造三重層は総高1.85mで三層が一石で造られていて、各層の四面に上段から右回りに45文字が刻まれています。

 朝廷や泉生等のため、小師道輪が法華経を安置する塔を造ったのです。無間(8大地獄の1つ、阿鼻地獄)の受苦より救われ、安楽を得て、彼岸(仏道に精進して悟りの高い境地に達する)へ往けるよう願ったと記されています。(新里の文化財より)

 昔から歯仏様として信仰を篤くして、歯病の者は「治れば麻殻をお供えする」と祈念すれば治ると信じられています。終戦時頃までは30cm位の長さにまとめられた麻殻があったと言われています。

 延暦20年(801年)7月17日に建立され、平安初期における地方の仏教文化史上、重要な石造物として全国的に希有なものと言われています。

私有・稲越の白山大明神(千葉県)

私有・稲越の白山大明神
私有・稲越の白山大明神

 千葉県市川市の清水邸に白山大明神があります。道路と宅地の境界を仕切るブロック塀の一部を30cm四方の大きさに切り取った中に祠はあります。高さ25cm、幅20cmほどの石塔は、長い間の風雨にさらされたせいで表面は風化が激しく、白山大明神の刻字もかすかに判読できるほどです。

 以前は屋敷内に祀られていたのですが、戦後の道路拡張整備に伴い敷地・石塀は徐々に後退し、ついに石塀の中におさまる現在の姿になってしまったそうです。

 家主の清水氏の話によると、何代か前の先祖が村人の歯の治療を行っていたと伝えられていて、この家の氏神であった白山大明神が、いつの間にか「歯の神様」として崇められ信仰されるようになったのではないでしょうか。現在でも歯の悩みの解消や、歯の痛みにあわないようにとお参りする人がいるとのことです。お賽銭が供えられているのがその証拠です、とも仰っていました。

秩父の白山さん(埼玉県)

秩父市 白山神社 秩父市 白山神社
秩父市 白山神社 秩父市 白山神社

 秩父・法泉寺の伝説の中に出てくる「十一面観世音の化身」の白山姫について地元の人から次のような話を聞くことができました。

 白山姫は「白山神社」のご神体として法泉寺境内に祀られていましたが、明治初年の“神仏分離”令によって法泉寺の南西に位置する小高い山頂に移されることになりました。道らしき道もない、めったに踏み入ることもない樹木に覆われた山頂に鎮座している「白山神社」は、昔から、「歯の神様」としてこの辺りの住民の間では信仰を集めていたと言われています。

 毎年4月21日を「祭礼日」と定めて附近の人々がここに集まり、持ち寄った酒肴で神様を慰める行事を催すということです。

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