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Q&A 安全性

:宝塚や西宮で社会的な問題となった歯のフッ素症が起きたのは、どうしてでしょうか。

:宝塚や西宮で社会的な問題となった歯のフッ素症は、天然に過量のフッ化物が含まれた水を水道水として供給していたために発現したものです。
 歯にみられる白斑には、フッ化物が原因のものと、フッ化物以外のものが原因のものとがあります。フッ化物以外の原因による白斑の1つに、むし歯が原因の脱灰があります。脱灰というのは、歯垢中の糖類に対する口腔細菌の作用で、歯垢中に酸ができて酸性環境になり(pHが低下して)、エナメル質の表面からカルシウムやリン酸が溶け出し、その部分が白くにごって見える現象をいいますが、フッ化物によるむし歯予防が行われている場合、脱灰部はむしろ減少することが知られています。
 いずれにしても、宝塚や西宮の歯のフッ素症問題は、フッ化物によるむし歯予防が原因ではありません。むしろ、もしこの地域で水道水フロリデーション(水道水フッ化物濃度調整)が行われていたらこうした問題は発生しなかったのです。こうした過量のフッ化物を減らして最適なフッ化物濃度に調整することも水道水フロリデーションの役割の1つなのですから。このことからも、自然のままの水が必ずしも安全であるとはいえないことが分かります。


:フッ化物洗口を何年も続けていると「歯くされ病」になることはありませんか。

:「歯くされ病」とは、医学的な病名ではなく、特定の地域でみられた風土病の俗称です。その多くは、いわゆる歯のフッ素症のうち審美的に問題のある中等度から重度のものをいうようです。フッ化物洗口で、歯のフッ素症を起こすことはありません。
 水道水フロリデーションされた水を飲んでいる場合、飲んでいる人々の一部(10〜20%)に軽度の歯のフッ素症が発現することがあります。しかし、この軽度の歯のフッ素症は一般の人には普通の健康な歯と見分けが困難な程度のもので、公衆衛生上問題となるようなものではありません。しかし、水道水フロリデーションでは中等度から重度の歯のフッ素症は発現しません。フッ化物洗口は局所応用ですので、歯のフッ素症を起こすことはありません。


Q:病気によっては、フッ化物洗口やフッ化物歯面塗布を行ってはいけない場合がありますか。

:フッ化物は自然にあまねく存在しており、飲食物として日常的に摂取されています。また、フッ化物洗口や歯面塗布のフッ化物量が特に影響を与えることはあリません。
  したがって、病気によってフッ化物洗口や歯面塗布を行ってはいけないということはありません。また、腎臓の病気で透析を行っている場合も、透析に使用する水は水道水をそのまま使用するわけではありませんので、水道水フロリデーションを行っている地域でも問題になったことはありません。


:フッ化物が癌の原因になると聞きましたが、本当ですか。

:過去に「フ口リデーションされている地域の人々は癌による死亡率が高い」という報告がありました。しかし、これは米国で調査されたデータを誤って解釈したもので完全に間違いであることが分かりました
 癌などの年齢によって発症率に大きな差があるような病気では、人口の高齢化が進んでいるような場合、これを無視して死亡率(粗死亡率)を比較しても意味をなしません。現在、人口の高齢化が進み、人口構成のなかで老人の割合が高くなっていますので、単純に10万人に何人の死亡というように扱った場合、高齢者の割合が多い地域ほど、また同じ地域でも年々直線的に癌による死亡率は上昇することになります。しかし、比較する年度の年齢構成をある年度を基準にした年齢構成になおして解析する、これを年齢調整死亡率というのですが、こうした正しい解析では癌の死亡率に差はでませんでした。
 また、「フロリデーションされていた地域の子宮がん死亡率が高い」という報告もありましたが、これもデータの採取地域および解析に不備があり、差は確認されませんでした。
 米国国立癌研究所や米国疾病コントロールセンター(CDC)を含む専門機関は、フロリデーションと癌とは無関係であるとしています。


:フッ化物は骨に蓄積して障害を生じることはありませんか。

:過量なフッ化物の摂取によって骨にフッ化物が蓄積すると、骨フッ素症が生じます。飲料水のフッ化物濃度についていうと、ヒトの骨フッ素症の発現が確認されている最低のフッ化物濃度は、水道水フロリデーションの至適濃度(0.7〜1.2ppm)のおよそ8倍です。
 6〜8ppmの高濃度フッ化物飲料水を20年以上使用し続けた住民のうち、およそ10%の人に、レントゲン検査によって発見される骨硬化症が発現することが分かっています。自覚症状がでるほどではありませんが、このような飲料水を使用することは、第一にひどい歯のフッ素症(斑状歯)がでますし、骨の健康によくないことは当然です。
  なお、むし歯予防のためのフッ化物利用によって、ヒトの歯や骨以外の組織になんらかの変化や障害が現れたという証拠はありません。

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