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歯と口に関する故事・熟語

異口同音(いこうどうおん)

 今までにご紹介した「歯と口に関する故事・熟語」の中では、比較的ひんぱんに日常会話に登場する四字熟語だと思います。その意味は「多くの人がみな口をそろえて、同じことを言うこと。また、みんなの意見が一致すること」です。“口”は「こう」と読むのだそうですが、一般的には「いくどうおん」と発音されます。出典は中国、東晋の葛洪(かつこう)の著、『抱朴子(ほうぼくし)』です。

 この書は4世紀前半に著されましたが、実は大変ユニークな書です。内篇20巻は、神仙、方薬、鬼怪、養生、長生、悪魔払い、厄よけなどの道教・神仙道の理論と実践(道術)の解説書で、妖怪図鑑といった趣です。左慈(さじ・『三国志』に登場する妖術使いで、曹操(そうそう)を翻弄し、その死を予言して去りました。やはり『神仙伝』という妖怪図鑑を著しています)の影響が大きいとされます。「異口同音」は、その内篇からではなく、政治・経済・文明の批判の書であった外篇50巻からの出典と思われます。

 皆様が日本歯科医師会会員の歯医者さんに、「むし歯と歯周病にならないためには、何に気をつければよいのでしょう」と質問されると、きっと多くの歯医者さんは“異口同音”に「それは正しい歯みがき習慣を身につけることです」と応えることでしょう。

日本歯科医師会 広報委員会

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