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歯と口に関する故事・熟語

一口両舌(いっこうりょうぜつ)

 その意味は“前に言ったことと、あとで言うこととが違うこと。また、そのさま。二枚舌を使うこと”です。出典は不明ですが、おそらく仏教の“十悪”の中の“両舌”に由来したものと思われます。

 仏教では人間の行為を身・口・意の三つに分けています。「身」の悪として殺生・偸盗(ちゅうとう)・邪淫(じゃいん)、「口」の悪として妄語(もうご=嘘をつく)・綺語(きご=真実に反して言葉を飾りたてる・無駄なおしゃべり)・悪口(あっく=粗暴な言葉)・両舌(中傷の言葉・二人の人に対し異なることを言って仲たがいさせる)、意の悪として貪欲(とんよく=むさぼり求める)・瞋恚(しんに=怒る)・愚痴(道理を解さない)としています、合わせて十悪、人間が犯す不善行として最も慎むべきものとされました。

 ところで、キツネザルやメガネザルは、“二枚舌”ってご存じですか?主たる舌の下に短い舌がもう一枚あるのです。この「下舌(かぜつ)」は私たち人間にも、その痕跡として「采状(さいじょう)ヒダ」として残っています。この下舌は「櫛(くし)歯の掃除用」という説もあり、ならば私たちも“二枚舌”でいた方が、むし歯や歯周病になりづらかった?かもしれませんね。

日本歯科医師会 広報委員会

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