制作:日本歯科医師会

  • 日本歯科医師会 副会長
  • 歯科医師
  • 瀬古口 精良
キーパーソン・メッセージ 日本歯科医師会 副会長 歯科医師 瀬古口 精良 キーパーソン・メッセージ 日本歯科医師会 副会長 歯科医師 瀬古口 精良
キーパーソンが語る。Keyperson message キーパーソンが語る。Keyperson message
歯周病予防の実践・継続で、健全な口腔機能を保ち、人生の幸福度を高めましょう。 歯周病予防の実践・継続で、健全な口腔機能を保ち、人生の幸福度を高めましょう。

腸内環境にも影響を及ぼす
歯周病の予防が生涯健康のカギ

歯周病は、歯と歯ぐきの間に付着した歯垢(プラーク)の中で増殖した原因菌が出す毒素によって炎症が起こり、歯を支える歯ぐきや骨(歯槽骨しそうこつ)が壊れていく病気です。痛みなどの自覚症状が少ないまま進行することから「サイレント・ディジーズ(沈黙の病気)」とも呼ばれています 。日本人が歯を失う一番の原因でもあります。
歯周病は“単なるお口の病気”ではなく、心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病・誤嚥性肺炎など、多くの全身疾患と深く関わっています。歯周病菌が血流にのって全身を巡ることで、炎症反応や腸内環境の悪化にも影響を及ぼすとされています。まさに、「お口の健康は全身の健康につながる」のです。

世界一罹患者数が多い感染症。
近年日本では低年齢化も懸念

日本では、35歳以上の3人に1人が歯周病に罹患しており、年齢とともに悪化する傾向です。高齢者では残歯数が増えてきた一方、歯周組織のケアが追いつかず、機能的な「咀嚼障害」や「社会的孤立」につながるケースも見られます。
また最近は、10代でも歯ぐきに炎症がみられる方が増えており、生活習慣の乱れやセルフケア不足による“歯周病罹患の低年齢化”が懸念されています。これを受けて国は、自治体による歯周疾患検診の対象に「20代」と「30代」を追加しました。私どもも、歯科健診の推奨をはじめ、広報活動の充実や予防教育の早期介入などで若い方たちの歯周病予防をより積極的にサポートしていきたいと考えています。

歯周ポケット(4mm以上)を有する者
年齢階級別の割合

歯周ポケット(4mm以上)を有する者年齢階級別の割合の表 歯周ポケット(4mm以上)を有する者年齢階級別の割合の表
出典:厚生労働省「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」

早期発見・早期対処による
歯周病予防でQOL向上へ

歯周病予防には「毎日の適切なセルフケア」と「年2回以上のプロフェッショナルケア」の両輪が不可欠です。セルフケアでは、デンタルフロスや歯間ブラシなどの利用をぜひ習慣にしてください。そしてプロフェッショナルケアは、ご自身では気づきにくい口内環境の小さな変化を見逃さず、早期発見・早期対処を可能にします。
お口の健康だけでなく、人生全体の幸福度にも直結する歯周病予防。将来のための自己投資ともいえます。「一生自分の歯で食べ、話し、笑える未来」を目指して、今日から予防に取り組みましょう 。

セルフケア&プロケアの概念図

プロフェッショナルケア 歯科医院などでの定期的なチェック ●歯みがき指導 ●予防処置など 近年は“炎症の可視化”や“バイオフィルムの制御”といった科学的なアプローチも進化! セルフケア プロの指導に基づく毎日のケア ●歯みがき ●デンタルフロス●デンタルリンスなど 睡眠・食事・運動・ストレス管理を含む“生活習慣の見直し”も重要! プロフェッショナルケア 歯科医院などでの定期的なチェック ●歯みがき指導 ●予防処置など 近年は“炎症の可視化”や“バイオフィルムの制御”といった科学的なアプローチも進化! セルフケア プロの指導に基づく毎日のケア ●歯みがき ●デンタルフロス●デンタルリンスなど 睡眠・食事・運動・ストレス管理を含む“生活習慣の見直し”も重要!
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