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(3)水道水フロリデーションはWHO(世界保健機関)およびFDI(世界歯科連盟)が承認・推進している

 1945年、米国で水道水フロリデーションが開始され、1950年代後半から60年代にかけて飲料水中のフッ化物濃度を約1ppmに調整した都市の中学生のむし歯罹患状態が、天然の同程度のフッ化物濃度給水地区とほぼ同レベルになることが明らかになりました。これを受けて、世界の専門機関から水道水フロリデーションを推奨する決議文と声明文が相次いで出されました。

 1964年11月に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された第52回FDI(国際歯科連盟)年次総会において水道水フロリデーションに関する決議が採択されました。

FDI(世界歯科連盟)の決議文(1964年)

1.むし歯は全身の健康を阻害し、疼痛を誘発して、全世界の大多数が罹患する疾病である。

1.WHO、各国政府及び科学専門諸団体より招集された専門委員会によって、むし歯抑制手段としての水道水フロリデーションの安全性、効果及び実用性に関する科学的根拠が検討され、承認された。

1.過去30年間に亘る経年的観察研究の結果、水道水フロリデーションがむし歯抑制に対して最も効果的かつ、廉価な方法であることが確認された。

  従って以下の如くに決議する。

 「水道水フロリデーションはむし歯の発生を安全かつ経済的に抑制する手段として、現状においては最も有効な公衆衛生学的施策であることをすべての関係当局に推薦すべきことを決議する。」

 水道水フロリデーションを薦めるWHOからの最初の勧告は1969年に出されました。次いで、WHO第28回総会(1975年)で地域社会のむし歯予防策における水道水フロリデーションの推進勧告が出され、さらにWHO第31回総会(1978年)においては、「安全で安価、かつ効果のあるむし歯予防方法が存在すること、とくに広範に実施されている水道水中のフッ化物の至適濃度調整による方法、さもなければ、他の予防の薬剤や処置と同様に、全身的かつ局所的にフッ化物を使用する別の方法があることを認識すること」と述べ、第一に「口腔疾患の予防と管理に対する企画の中に、とき・ところにかかわらず水道水フロリデーションを用いるよう参加国に勧告する」と決議しました。

 また、1994年に発行された「フッ化物と口腔保健」(WHO専門委員会報告書)の第7章に水道水フロリデーションについての記載があり、結論として以下の4点があげられています。

「フッ化物と口腔保健」(WHO専門委員会報告書)

1.地域における水道水のフロリデーションは安全かつ経済的であり、社会的に受け入れられ、実施可能なところでは導入と継続が望まれる。

2.至適フッ化物濃度は0.5〜1.0mg/l(0.5〜1.0ppm)の範囲である。

3.水道水フロリデーションのシステムの技術的な操作については、毎日の定期的な記録とモニターが必要とされる。

4.むし歯と歯のフッ素症に関する定期的な調査の実施が望まれる。

 表14は、水道水フロリデーションを推奨している保健に関係する主な専門団体です。このように、むし歯予防のための水道水フロリデーションはWHO(世界保健機関)をはじめ、欧米の医学歯学薬学系その他の関連機関が推進しており、上記の諸団体を含めて世界では150もの専門機関が推奨しています。

表14 水道水フッ化物調整を推奨する主な団体

WHO(世界保健機関)
FDI(世界歯科連盟)
厚生労働省
日本歯科医師会
日本歯科医学会
日本口腔衛生学会
米国医師会
米国歯科医師会

米国小児科学会
米国公衆衛生学会
米国整骨療法師会
米国栄養士会
米国歯科衛生士会
米国看護協会
米国水道協会
英国保健省

英国医師会
英国歯科医師会
カナダ歯科医師会
カナダ医師会
アイルランド歯科医師会
オーストラリア歯科医師会
ニュージーランド歯科医師会
ORCA(ヨーロッパう蝕研究協議会)

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