目 次
第1章 フッ化物によるむし歯予防 / 第2章 フッ化物配合歯磨剤(フッ素入り歯磨き剤) / 第3章 フッ化物洗口 / 第4章 フッ化物歯面塗布 / 第5章 歯科で使用されるフッ化物とPFASの違い
第2章 フッ化物配合歯磨剤(フッ素入り歯磨き剤)
国内で最も一般的に普及しているフッ化物の応用方法が「フッ化物配合歯磨剤です。現在、市販されている歯磨き剤の9割以上にフッ化物が含まれており、日常的に使うだけでむし歯予防効果が得られます。
薬用成分にフッ化物としてモノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)・フッ化ナトリウムなどが配合されています。フッ化物イオン濃度は1,500ppm以下に定められており、1,450ppm程度までのものが販売されています。ただし、フッ素の配合量の合計が
1,000ppmを超え1,500ppm以下である高濃度フッ化物配合薬用歯みがきについては、6歳以上を対象としています。年齢に応じた適切なフッ化物濃度と量の歯磨剤を使用することで、効果的にむし歯を予防することができます。
関連する歯科医学会の4学会(日本口腔衛生学会、日本小児歯科学会、日本歯科保存学会、日本老年歯科学会)から「う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」が示されています。
注釈)本文中に用いているフッ化物濃度のppmは、フッ素化合物中のフッ素濃度を示しています。そのため、下表「う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」中に使用しているppmFと同義です。
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フッ化物配合歯磨剤予防効果を
さらに高めるために提案されている方法
(トゥースペーストテクニック)
1) イエテボリ法
イエテボリ法は、スウェーデンのイエテボリ大学で開発された、フッ化物を口内にすみずみまで行き渡らせてむし歯の予防効果を高めるための方法です。
- 歯ブラシにフッ化物配合歯磨剤を2cm程度つける(成人)。
- ブラッシングは、歯磨剤を口全体に広げるように2分間行い、途中で歯磨剤を吐き出さない。
- 歯磨剤を吐き出す前に少量の水(約10ml、ペットボトルキャップ2杯程度)の水を口に含み、30秒ブクブクうがいをする。
- その後は吐き出すだけで、水ですすがない。
- 歯磨き後、少なくとも2時間は飲食を控える。
2) PTD法
東京歯科大学がイエテボリ法の考案者と共に開発した方法で、フッ化物が唾液で薄まる前に、フッ化物配合歯磨剤をむし歯のリスク部位に留めて、予防効果を高めるための方法です。
- 指ブラシ等にフッ化物配合歯磨剤を2cm程度付ける(成人)。(図1)
- 歯間や小窩などのう蝕リスク部位に予め歯磨剤を刷り込むように届ける(図2)
- その後通常のブラッシングを行う。
- すすぎは最小限にとどめる。
図1
図21)4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法. 一般社団法人 日本口腔衛生学会, 公益社団法人 日本小児歯科学会, 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会, 一般社団法人 日本老年歯科医学会. 2023.
https://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/news/2023/news_230106.pdf
2)Effect of a modified toothpaste technique on approximal caries in preschool children.
Sjögren K, ,etc.
Caries Res. 1995;29(6):435-41
3) Comparison of interproximal delivery and flow characteristics by dentifrice dilution and application of
prepared toothpaste delivery technique
R Satou ,etc. 17(10) 2022 PLoS One
4)齲蝕予防 UP TO DATE 〜“フッ化物”を再考し,“歯磨き”を見直そう!〜
高柳篤史,他
デンタルハイジーン,44巻6号,606-627,2024

