人間は、その長い歴史の中で「食」を単なる生命維持のための「栄養摂取」としてではなく料理として、さらに人と共に食することで「心のふれあい」、「食事のマナー」としても発達させてきた。これは食のあり方が文化や文明と深く関わってきたことを意味する。そして今、その食が乱れ、あり方が問われているとすれば、これはとりもなおさず、文化や文明の乱れとして捉えなければならないと、考えている。
国は、近年におけるこのような国民の「食」をめぐる環境の変化に対し、緊要な課題として、国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむための食育を推進することによって、現在及び将来にわたる健康で文化的な生活と豊かで活力ある社会の実現に寄与することを目的に「食育基本法」を制定した。
食は命の源である。人は食物を「口」から摂りこみ、十分に咀嚼することによって身体の栄養のみならず五感を通した味わいや寛ぎなどの心の栄養を得る。また、食物の知識と「食べ方」を通して健全な心身の糧となり、豊かな人間性を育むことが可能となる。以上のような観点にたって、次の食育の支援を行う。
われわれ歯科に関連する総ての職種は、国民すべてが豊かで健全な食生活を営むことができるよう、多くの領域と連携して国民的運動である食育を広く推進することをここに宣言する。
平成19年6月4日
日本歯科医師会
日本歯科医学会
日本学校歯科医会
日本歯科衛生士会