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事業案内

健康づくりのための食育推進共同宣言

「食」は、動物にとって、「命」の流れを絶たないための、つまり生命維持のための基本的な営みであり、さらに必要な栄養素を摂り込むことで、成長、発達、運動等に深く関る大切な営みである。

さらに人間にとって「健やかな食」とは、「身体の栄養」のみならず、味わいや寛ぎなど「心の栄養」として心身の健康を育むことに深く関るばかりか、共に食することで人々の連帯意識が高められ、地域づくりや食文化の醸成にも寄与する。

しかしながら、近年このような「食」の役割が十分に果たされていなくなっている現状に、われわれは大きな危機感を抱いている。

国は、このような「食」をめぐる環境の変化に対して、国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むための食育を推進することを緊要な課題とし、現在および将来にわたる健康で文化的な生活と豊かで活力ある社会の実現に寄与することを目的に「食育基本法」を制定した。

われわれは、「食べることは生きることであり、生きることは食べつづけることである」という言葉を基本に据え、さらに現在の「食」の衰退を、人間の存在の衰退と捉え、豊かな人間性を育むことを可能とする「あるべき食」や「食べ方」に対する知識と実践を通して、孤立の度を深める現代社会の病理の解決策のひとつとしたいと願うものである。

以上のような身体的、精神的、社会的な健康の観点にたって、次の食育の推進を行う。

  1. 生涯にわたって安全で快適な食生活を営むためには、栄養のバランスをとりながら、しっかり噛むことであり、それを通して、味わい深く、心豊かな人生を営むことを目的とした食育を推進する。
  2. 嚥下するまでに30回程度は噛み砕くのに必要な固さの食品や料理を選び、さらにそれを一口に30回以上噛んで味わう食べ方である「噛ミング30(カミングサンマル)運動」を推進することで、「食」と「栄養摂取」と「健康」のあるべき形を推進する。
  3. 食に関わる団体等と連携・協働し、食育の重要性を広く国民に訴え、社会的な活動として、これを推進する。

「食」の専門職として歯科医師、管理栄養士・栄養士は、われわれのみならず「食」と「健康」に関するすべての職種が、健全な食生活を実践することのできる人間を育て、すべての人々が健康で心豊かな食生活を営むことができるようにその責務を果たすと同時に、互いに連携・協働して国民運動である食育を広く推進することをここに宣言する。

平成22年4月7日
公益社団法人日本歯科医師会 会長 大久保 満男
社団法人日本栄養士会 会長 中村 丁次