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言語機能と構音障害

構音障害の治療について教えてください。

構音障害の治療は主に言語聴覚士が行いますが、障害によっては歯科医師が発音を補う装置を作ったり、外科的処置を行うなど、構音障害の治療に歯科医師が深く関わることがあります。

(1)代表的な訓練法

1)話す時に、音が鼻に漏れたり抜けたりする人には?
ブローイング訓練

話をする時にことばが鼻に漏れたり、抜けたりする状態(鼻咽腔閉鎖機能不全)に対しては、吹く(ブローイング)訓練によって口から息を出す練習などを行います。例えば、コップに入れた水をストローで吹いたり、笛やラッパなどの楽器を吹く練習を行います。

2)話す時に舌が前に出るなどの異常習癖がある人には?
口腔筋機能療法

舌や口唇の異常な運動習慣やくせによる、口腔周囲筋(食べたり飲んだりするときに使う筋肉)の不調和を取り除き、調和の取れた状態に改善します。口腔筋機能療法には、舌の筋肉の訓練、舌の運動訓練、舌の位置の矯正訓練、口唇の運動訓練などがあります。次にお話しする「構音訓練」の前段階として取り入れることもあります。

3)発音の誤りがある人には?
構音訓練法

正しい音を作る「方法」を身に付け、明瞭度を上げるために行います。 まずは正しい音の作り方を知り、その音について正しく発音できるようにします。次に、単語に含まれるその音も正しく発音できるように練習し、さらに短文、長文、会話へとレベルを上げていきます。

(2)補綴(ほてつ)的発音補助装置

発音を改善するために歯科医師が発音用の装置(補綴物)を作ることがあります。

1)口蓋裂で、上あごに穴が開いている人には?
口蓋補綴(口蓋床)

上あごの穴を塞ぐ装置です(図4〜6)。音の鼻漏れを改善し、舌や飲食物が口蓋裂の部分に入り込むのを防ぎます。

2)手術で上あごの一部を切除した人には?
顎補綴(顎義歯)

失ったあごの骨や歯を装置で補います(図7)。音の鼻漏れなどの構音障害や飲食物が鼻腔へ入り込むのを防ぎます。

3)話す時、音が鼻に漏れて響く人には?
鼻咽腔部補綴

軟口蓋によって鼻と口の境(鼻咽腔)を閉じることが難しい人向けです。話をするとき口の中に息を保てずに、鼻に漏れてしまうのを防ぐ装置です。軟口蓋栓塞子、バルブ型スピーチエイド、軟口蓋挙上装置の3種類があり、上あごや喉の形や動きの状態に合わせて最も効果が高い装置を作ります。

①軟口蓋栓塞子(図8)は、手術などにより軟口蓋が欠損した人(図9)に用います。軟口蓋の部分を装置で塞ぐことによって、息が鼻に漏れる状態を改善します。

②バルブ型スピーチエイド(図11)は、軟口蓋が短いために音が鼻に漏れてしまう人に用います。鼻と口の境(鼻咽腔)を塞ぐ大きさに栓(バルブ)を作ります。上あごに着けて喉の奥に栓を入れ、鼻漏れを改善します。

③軟口蓋挙上装置(図13)は、軟口蓋の動きが良くない人に用います。上あごに着け、軟口蓋を少し持ち上げることによって、鼻漏れを改善します。(図14)

4)舌がんの手術や脳卒中で舌が動きにくくなった人には?
舌接触補助床

手術や病気で舌の運動障害などがある場合に作る、口蓋部(上あご部分)を厚くした装置です。(図15)手術で移植した舌の動きが悪く、舌と上あごを接触できない人に用います。(図16)口蓋部を厚くすることで、発音時に舌が上あごに接触するようになり(図17)、カ行やタ行など言いにくい音が発音しやすくなります。


(3)外科的治療

発音を改善するために手術をすることもあります。

(1)口蓋裂や頭頸部がんの手術、外傷などにより、口腔と鼻腔がつながり空気が漏れる状態(口腔鼻腔瘻)には?
「口腔瘻孔閉鎖術」

(2)話をする時に口の中に息を保てず、鼻に息が漏れる人(鼻咽腔閉鎖機能不全)には?
「口蓋後方移動術」や「咽頭弁移植術」

(3)舌の裏側に着いているひもが短い「舌小帯短縮症」には?
「舌小帯伸展術」

(4)歯列不正やかみ合わせの異常には?
「外科的顎矯正術」

昭和大学歯科病院 口腔リハビリテーション科教授 高橋光二

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