舌で歯を押す癖(舌突出癖)
食べ物や水・ジュースを飲むときに,舌の先はどこについていますか?このような質問をすると,はてな?と考えてしまいます。
正常な人は,呑み込むときに上下の奥歯を軽く咬み,舌の先を上の前歯の少し後ろの歯肉につけて,口元の筋肉を緊張させないで呑み込みます。
“舌の癖”がある子どもは,呑み込むときに上下の前歯の間に瞬間的に舌を押し出します。
また,呑み込むときに前歯を押す力は,正常な人の2倍以上の力になるため,出っ歯や前歯が咬み合わないような歯ならびになります。
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舌で歯を押す癖の原因
1. おしゃぶり癖や指しゃぶり
2. 扁桃肥大,アレルギー性鼻炎などによる口呼吸
3. 舌のひもが短い
4. 舌が大きい
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指しゃぶり | おしゃぶり癖 | |
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扁桃肥大 | 舌のひもが短い |
舌で歯を押す癖による歯ならびへの影響
下唇を咬んだり吸ったりすると,上の前歯は前方に傾斜し,下の前歯は内側に傾斜して出っ歯になったり,咬み合わせが深くなり,上の前歯の歯肉を咬んで傷がつくことがあります。出っ歯になると,口が閉じにくくなり,口呼吸を引き起こします。
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開咬
(前歯が咬み合わない)
(舌が前に出る)
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側方開咬
(横の歯が咬み合わない)
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上顎前突
(出っ歯)
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下顎前突
(受け口)
(舌で下の前歯を押す)
空隙歯列
(すきっ歯)
乳歯列 |
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永久歯列 |
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(舌で歯を押す) |
舌で歯を押す癖による歯ならび以外への影響
■発音がもれる(サ行・タ行・ラ行)
■口元が突出する
■顎の発育に影響し不正咬合になる
■前歯で噛めない
■口呼吸(口をポカーンと開ける)
舌で歯を押す癖の指導
1. 舌のトレーニング(口腔筋機能療法)
小学校低学年の時期が適当です。本人が舌の癖により歯ならびや口元,発音などへの影響がわかり,本人の治そうという気持ちが大切です。
2. ハビットブレーカーという矯正装置
3. 本格的な矯正装置
舌のトレーニング(口腔筋機能療法)のみで治ったケース
歯科医院で歯科医師,歯科衛生士による指導

舌のトレーニングと簡単な装置(ハビットブレーカー)を一緒に用いたケース
