目 次
マウスガードとは / マウスガードが必要なスポーツ / マウスガードの種類と効果 / マウスガードのお手入れ / スポーツ中のお口のけがに対する救急処置 / 食いしばりと筋力
スポーツと歯科について
1.マウスガードって,どういうものですか?
スポーツ中に起こる口の中の怪我を未然に防ぎ,大切なあなたの歯を守ってくれるプロテクター(防具)です。強い衝撃から歯を守るために高性能な衝撃吸収材でできています。以前はガムシールドとかマウスピースとも言われましたが,最近ではマウスガードという言葉が好んで使われています。皆さんもよく知っているヘルメットやヘッドギアが頭の怪我を予防するためにあるように,歯の怪我を予防するためにマウスガードがあるのです。
2.世界最古のマウスガードのことを教えてください?
マウスガードの歴史は意外に古く,世界最古のマウスガードは 1892 (明治 25 )年頃の英国製だそうです。ロンドンの開業歯科医だった故ウォルフ・クローゼ氏がプロボクシング選手の求めに応じて,ガッタパーチャ・ゴムを用いて手作りしてあげたのが最も古い記録です。米国では 1916 (大正 5 )年から作られるようになり,その後日本にも伝わりました。
日本でマウスガードが最初に作られたのは 1925 (大正 14 )年のことだったといいます。やはり歯科医師であった大久保信一氏がボクシング選手の歯型をとり,軟ゴム,ラバーベースあるいはシリコンゴムにてオーダーメイドしたという記録が残っています。
近頃ではマウスガードというと,スポーツ用品店に売っている既製品のものとついつい思われがちですが,本来のマウスガードは歯医者さんが腕によりをかけて一つ一つ手作りしていたものなのです。
【参考】
1. Reed RV Jr.: Origin and early history of the dental mouthpiece. Br Dent J 176: 478-480, 1994.
2.大久保信一ほか:マウス・ピースの歯科学的研究.第 1 報:形態,材料,調製法について.歯科学報 60 : 325-328 , 1960 .
3. どうしてマウスガードをしなければならないのですか?
歯には自己修復機能というものがありません。ですから,万が一怪我で歯が欠けたり,折れたりすると,もう二度と元には戻らないのです。そこで,歯医者さんに行って,硬質プラスチィック樹脂,金属あるいは陶材などの歯科用材料を用いて,歯の形と機能を人工的に回復してもらう以外に手はないのです。
自分の歯で一生かみ続けることができるように,常日頃から歯の健康管理に気を配り,身体と身体がぶつかり合うスポーツや格闘技に参加する場合には,必ずマウスガードを着用するように心がけましょう。
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