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レジン

歯科材料で使われるレジン (resin) は合成樹脂を表し、プラスチック全般のことを指して使われます。最も一般的なレジンの使用部位は義歯(入れ歯)です。床の赤い部分(床用レジン)と白い葉の部分(レジン歯)から構成され、両方ともメチルメタクリレート(メタクリル酸メチル)というレジンが使われていますが、配合される色素と硬化方法が異なっています。メチルメタクリレートはモノマーと言われる液体であるため、入れ歯にするには硬化させて固体のポリマー(ポリメチルメタクリレート)にする必要があります。これらのモノマーからポリマーの変化は重合反応という化学反応を利用して行われますが、歯科では熱を加えたり、還元剤と言う物質を加えて室温で重合反応を起こさせます。重合反応によってモノマー(液体)からポリマー(固体)に変化する際に、21%も体積収縮してしまうため、歯科では入れ歯作製の際に粉液重合法という特別な重合方法を使って義歯の適合精度を向上させています。レジン歯は、これらの重合工程をあらかじめ行わせているため、硬化させる必要がなくレディーメードのポリマーとして人工の歯として使用されます。また、床用レジンとレジン歯は組成が同じであるため、両者は特別な操作をしなくても結合し、義歯の修理のときに役立っています。

その他にも、最近では軽くて色調を歯に類似させやすい審美性重視の傾向からレジンの適用範囲が増え、クラウンなどの歯冠補綴物を歯に固定する際に使われるレジンセメントやレジン添加型グラスアイオノマーセメント、前歯用の歯冠補綴物である金属製のフレームの前面(唇側)に接着させるベニヤ材料の前装用硬質レジンや最近の人工歯の硬質レジン歯など多くの場面で、レジンと言う言葉が使われるようになっています。しかし、これらの素材は、義歯のメチルメタクリレートの場合と異なり、実際には純粋なプラスチックではなくシリカなどのフィラーを添加させた複合材料を指しますが、歯科ではレジンという言葉が同様に使われています。

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