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金属アレルギーの検査法

金属アレルギーの検査法には再現性が高く、簡便な方法として、48時間閉鎖型パッチテストを採用している専門医は多いです。(図6

東京医科歯科大学歯学部附属病院・歯科アレルギー外来での、患者への対応法を図7に示します。

パッチテスト(Patch test)とは

48時間閉鎖型パッチテスト(PT)と呼ばれています。試薬の付いたテープを背中に2日間貼り、2日後それをはがし、除去後、皮膚に現れた反応を2日目、3日目、7日目の3回を国際基準(ICDRG)に基づいて判定する方法です。(図8,9,10,11

(1)パッチテストを受ける患者さんが注意するべき点

  • パッチテスト期間中はアレルギー反応を抑える薬の服用を中止(ステロイド、鎮痛薬(NSAIDs)、抗アレルギー薬など
  • 汗をかく激しい運動は禁止
  • 入浴はテープ貼った後3日間は禁止
  • 一時的にアレルギー症状が悪化する可能性
  • 試薬を貼ることにより新たな感作を生じる可能性
  • 皮膚症状が強く広範囲に出ているときはパッチテストが行えない場合もある
  • 検査結果がはっきりしない場合は再確認の検査が必要な場合がある

金属アレルギーに対する血液検査とは

患者白血球(とくにTリンパ球)を培養し、そこに金属イオンを加え、H3 thymidin uptakeを見て、アレルギーのある、なしを調べる検査です。この検査をリンパ球刺激試験(Dental lymphocyte stimulation test・DLST)といいます。

この培養反応は、抗原と抗原提示細胞上のHLA class II抗原とにより誘導されるものであり対照の抗原無添加培養とその比Stimulation Index・SI)やその差(Δcpm)を指標に判定されます.SI値による陽性反応の判別には、本邦で一般的に採用されている薬剤アレルギー性肝障害の判別に従いSI>180を陽性としています。

利点:パッチテストによる感作を防げる上、患者の来院回数も減らせます。
欠点:しかし現状では、DLSTは金属の場合、多くの人が陽性に出てしまい、偽陽性(false positive reaction)が多いという報告もあります。これは、金属イオン自体の持つT細胞活性化能力による可能性が大きいため、今のところDLSTはPTに置き換えることはできません。

現在本学では有効性があるとされている金、ニッケル、パラジウム、コバルトに対してのみ血液検査を実施しており、全ての金属を対象とできないことと、検査費用が高いことが問題となっています。

金属成分分析検査とは?

蛍光X線分析装置による非破壊的成分分析

問題となる金属種(アレルゲン)が、口腔内のどの場所に存在するのかを非破壊的かつ正確に捉えられるため、抗原のみを選択的に排除することが可能となります。簡単に言いますと、外さずに成分分析する方法です。

パッチテストなどでアレルゲン金属が確定した場合、問題となっている金属がどこに存在するかを検索しなければなりません。口腔内に存在する金属修復物の中にアレルゲン金属が存在するのかどうかを調べる方法がなければ、全ての修復物を除去することにもなりかねません。しかし、それでは患者及び歯科医側の経済的、時間的負担が大きく、治療を躊躇せざるを得ません。口腔内に金属製修復物が存在することは分かっても、その含有元素や溶出傾向を肉眼で色や形、表面性状などから確かめることは、熟練した臨床家でも不可能です。また肉眼所見だけで、使用されている金属材料の成分を判断し、金属修復物をむやみに除去したのでは、再修復治療に要する時間・費用・労力などを考えると、非常に負担が大きくなる可能性が高いです。

パッチテストなどで陽性となった金属元素が含有しているか否かを調べるために、口腔内の詰め物や義歯の表面を軽く削り、その粉末(約0.1mg)を採取して蛍光エックス線分析装置(XRFS)を用いて分析を行うことができます。(図12)

原因除去療法(歯科的)について

抗原を含有する修復物を口腔内より選択的に除去し、一定期間仮封や仮歯などで経過観察を行いながら治癒傾向を見ます(2〜3カ月から1年程度)。治癒の方向に進めば、慎重に材料選択を行いながら、再修復に進みます。

当外来を訪れた患者さんのデータによれば、原因除去療法が終了して2カ月経過後では50%以上の患者さんに症状の変化はみられませんでしたが、アレルゲン除去から約2年後では改善傾向がみられるのは約60%と増えてきました。しかし、中には症状の変化は見られなかった人もいますので、修復物を外したからといって必ず治るとは限りません。(図13)

修復治療・交換治療(原因・抗原除去療法)――選択的抗原除去法

口腔内に存在する、原因金属含有修復部を選択的に除去し、アレルゲンを含有しない別の材料で再修復する。

(1)【要点】
・ 歯科用材料の具備すべき要件を満たしていること
 (生物学的・化学的・機械的・操作上・品質管理上の要件)
(2)【原因除去療法の必要条件】
・ 皮膚科的な原因除去療法の知識を持つこと(相談可能なアレルギー専門の皮膚科と連携すること)
・口腔内金属中のアレルゲン存在部位を特定すること(口腔内金属の成分分析が可能なこと)
・ 治療用材料に対する配慮が可能なこと=市販の歯科用合金の正しい選択基準を持ち、特殊な材料(チタン・ハイブリッドセラミックス・セラミックス・ジルコニア等)による治療システムを確立していること

アフターケア――経過観察と再発防止

アレルゲン除去完了後も長期間にわたり症状の変化を必ず観察し、また、再発防止のために新たに修復処置する歯は、慎重に材料を選択する。

【要点】
・ アレルゲン完全除去後、1年間は来院し経過観察する
・症状が好転してゆくようならば、3カ月に1度の来院、6カ月に1度の来院という形で、間隔を広げていく
・ 各来院ごとに、症状確認・記録を必ず行う
【再発防止】
・カリエスなど処置すべき歯が発生した場合、再発防止のため、当然アレルゲンを含有しない材料で補綴・修復する

東京医科歯科大学歯学部附属病院 歯科アレルギー外来 臨床教授 松村光明

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