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目 次

腫れ / えぐれ / 着色 / 舌痛症

<2>水ぶくれのように腫れている

a. 透明〜白色の水ぶくれ

単純疱疹

単純疱疹  

水ぶくれとそれが破れた後の潰瘍が口唇に見られます。
単純疱疹ウイルスの感染により発症します。痛みを伴った水疱形成が特徴です。
抗ウイルス剤の内服や注射、軟膏の塗布を行います。

帯状疱疹

帯状疱疹  

帯状疱疹による下唇粘膜、舌粘膜の水疱形成と偽膜形成が見られます。
発熱、患部の神経痛様疼痛などの神経症状が発疹に先立ってあります。発疹は両側に及ぶことはなく、片側に限局するのが特徴です。
水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化により発症します。 抗ウイルス剤を早期に使用することが必要で、帯状疱疹後神経痛が後遺すると難治性です。
三叉神経の支配領域に発症しますので、耳鼻咽喉科や眼科領域の症状が伴っていることもあり、注意が必要です。

粘液貯留嚢胞

粘液貯留嚢胞  

下唇粘膜下にできた粘液貯留嚢胞です。
下唇粘膜を透過して貯留した粘液が認められます。
小唾液腺の排泄管の閉鎖や狭窄、損傷などによって発生します。下唇の咬傷に継発することがよくあります。
嚢胞を切除するとともに、原因となった小唾液腺を切除することが必要です。

b. 白色〜黄褐色の水ぶくれ

歯肉膿瘍(慢性化膿性炎)

歯肉膿瘍(慢性化膿性炎)  

左下第一大臼歯の舌側歯肉に見られる歯肉膿瘍です。下顎第一大臼歯の慢性辺縁性歯周組織炎から発展したと考えられます。 粘膜下に黄色の膿が透過して確認できます。
膿瘍は切開して消炎しますが、根本的な原因は歯であるため、原因歯の治療が必要です。

c. 赤色〜暗赤色の水ぶくれ

帯状疱疹

帯状疱疹  

下唇に見られる帯状疱疹の水疱です。
水疱内に出血を伴うため赤くなります。 帯状疱疹は通常は三叉神経痛様疼痛(走るような間歇的な強い痛み)を訴え、これが遷延すると帯状疱疹後神経痛に移行します。したがって、抗ウイルス剤を早期に投与することが必要です。

頬粘膜にできた血腫

頬粘膜にできた血腫  

頬粘膜下に血液が貯留している状態です。
咬傷に継発することもありますが、写真のようにかんだ様子が見られないものもあります。
特に積極的な治療は必要としませんが、血腫が邪魔であれば貯留した血液を排出します。


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