
3.色調の変化、付着
粘膜表面の色調が変化していたり、何か付着していたりすることで粘膜の異常に気付くことがあります。一般的に粘膜の色調の変化は、粘膜上皮の厚さ、上皮のメラニン産生細胞や粘膜下の血管の状態などにより生じます。また、粘膜表面に付着したものの色調により粘膜の異常に気付くこともあります。
<1> 赤色になっている
口腔扁平苔癬
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頬粘膜から軟口蓋にかけてみられる口腔扁平苔癬です。
発赤した粘膜とレース状の粘膜の角化(白くなった部分)が伴っているのがよく見られます。
刺激物や塩分がしみたり、接触痛がある場合があります。
根本的な治療はありませんが、抗真菌剤とステロイド薬の局所塗布を行い症状を緩和します。
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地図状舌
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舌表面が部分的に赤くなり(舌乳頭が萎縮しています)健康な部分と模様を作った状態が地図のようであることから、このように呼ばれています。
痛みを伴うことはありませんが、真菌の感染によりピリピリとした不快症状をもつことがあります。また、舌表面の模様は時間とともに変化していきます。
原因は良く分っていません。 |
<2>白色になっている
白板症
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舌・口底にみられる白板症です。
白い変化は写真のようにザラザラしていることもありますが、もっと滑択で周囲粘膜と同じで白色にみえる場合もあります。
初期の粘膜がんや上皮内がんとの区別が難しく、白板症自体も長期にわたって経過観察をすると、がん化している場合があります。
専門医の診察が必要です。 |
カンジダ症
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頬粘膜のカンジダ症(急性偽膜性)
粘膜表面にカンジダ菌が増殖して白い膜の様なものを形成しています。
カンジダ菌は口腔に常在する菌の一つですが、体調が変化することにより写真のように病原性を現すことがあります。
抗真菌剤を内服したり含そうしたりします。 |
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同じ患者さんの口蓋の状態です。
口蓋部から咽頭にかけて頬粘膜と同じ様な白い偽膜が付着しているのが分かります。
口腔カンジダ症自体は大きな問題ではありませんが、これを発症している原因について知る必要があります。
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<3> 黒色になっている
悪性黒色腫
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上顎歯肉から頬粘膜にかけて見られる悪性黒色腫です。
口腔粘膜が黒く着色されたように見えます。粘膜が隆起してくることもあります。
外科的治療、化学療法、免疫療法など様々な治療法が行われています。
専門的な診断と治療が必要となります。 |
母斑
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舌下面の母斑です。
先ほどの悪性黒色腫と区別する必要があります。母斑はいわゆる「ほくろ」で治療の必要はありません。
悪性黒色腫との鑑別のため、専門医の診察が必要です。
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黒毛舌
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舌表面にある苔のようなものを舌苔といいます。これは舌乳頭に食物残渣や細菌代謝産物が付着して舌表面に着色したものです。
細菌により色が異なり、特に黒い舌苔の場合を黒毛舌と呼んでいます。 |
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