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加齢による歯の数、形の変化

1)歯の数の減少

 歯数減少は、その多くがう蝕、歯周疾患に起因します。特に歯周疾患では歯を支える歯槽骨が消失し、歯を失う可能性が高くなります(図8)。これらは生理的加齢変化とは言いがたいですが、高齢者では歯数が減少します。

2)磨耗・咬耗による歯の形の変化

 歯は加齢に伴い、磨耗によりすり減ります。磨耗の中で、咬合することにより切縁、咬合面が磨滅した場合を特に咬耗と呼びます(図9)

3)歯髄腔の狭窄(象牙質の二次的添加)

 加齢に伴い象牙質は内側に徐々に形成される(生理的第二象牙質の形成)ため、歯髄腔は狭窄します。何らかの原因による歯質の欠損が象牙質にまでおよぶと、その部の歯髄腔側に生体防御反応として欠損に応じて急速に象牙質が添加されます(図10)。加齢に応じて歯髄腔全体にみられる象牙質の添加を第二象牙質と呼び、特に図3にみられるようなくさび状欠損などの局所的な欠損などに対して歯髄腔側に添加された象牙質を第三象牙質と呼びます。さらに、高齢者では歯髄内に出現する石灰化物である象牙質粒の出現頻度が高くなります。くさび状欠損の原因としては、誤ったブラッシング、咬合力の伝達(夜間のブラキシズムなど)による歯質の破壊などが考えられます。また、歯頸部のう蝕によっても同部の歯質が欠損し、第三象牙質が歯髄に形成される場合があります。

4)歯根透明象牙質の出現

 高齢者では歯根部歯髄側の象牙細管内に二次的石灰化が起こるため透明化します。

5)セメント質の肥厚

 セメント質は加齢とともに歯根膜側に添加し、厚くなります。根端部、根分岐部に細胞セメント質の肥厚がみられます。特に、根端部での添加は根端孔を狭くし歯髄への血管・神経の進入を困難にします。

東京歯科大学解剖学講座 教授 阿部伸一

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