歯周病の治し方を教えて下さい
歯周病の治療は、本人が病気を治そうという努力のセルフケアと、歯科医師や歯科衛生士による治療のプロフェショナルケアに大きく分けられます。
セルフケアでできること。
歯周病の原因は細菌性プラークです。よってこれを確実に取り除く「プラークコントロール」を修得することがとても大切です。プラークコントロールの基本は毎日の歯みがきです。
1.自分にあった歯みがきの方法を修得する
1. 適切な歯ブラシの選び方
a) 毛足はストレートで毛束は 3〜4 列ぐらいで清掃しやすく、通気性のよいもの
b) 健康な人は歯ブラシの硬さは普通かやや硬め、歯茎に炎症がある場合は柔かめのもの
c) 歯ブラシの持ち方、エンピツを持つようなペングリップ
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図1使いやすい歯ブラシの選び方 大きすぎない物。毛束は3?4列 |
図2 エンピツを持つように(ペングリップ) |
2. みがき方
歯のみがき方の基本は、一歯ずつ丁寧にみがく事です。でも、ご自分に適した磨き方があるのです。?歯科医師・歯科衛生士に指導してもらい自分の磨き方を修得しましょう。
ここでは、歯周病に有効なスクラッビング法(図3-a)とバス法(図3-b)を紹介します。
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図3-a スクラビング法 歯の外側(ほっぺた側)は歯ブラシの毛先を歯に直角にあて、軽い力で小きざみに動かします。 歯の内側(舌側)は45°にあてて同じように動かします 歯茎が健康な人向きです。 |
a) スクラビング法
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図3-b バス法 歯の外側も内側も、歯ブラシの毛先を歯と歯肉のさかい目に向けて45°の角度にあて、軽い力で小きざみに動かします。歯茎に炎症がある方向きです。 |
b) バス法
その他にも様々なみがき方がありますが、歯ブラシの毛先を上手に使ってプラークを確実に取り除くことが大切です。
c) みがく方法
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図4 みがく順番 |
適切な歯みがきのコツは、歯を磨き始める順番をきちんと決めて、道草しないように順序よく歯ブラシを動かしてゆくことです(図4)。その都度、自分が当てている歯の形や場所をイメージしながら丁寧にみがいて行きましょう。
3. 歯ブラシのサポーター
歯と歯の間、歯の一番奥の部分、被せ物やブリッジが入っている部分など、歯ブラシだけでは汚れが取りにくい部位があります。そんな場所には補助清掃器具を使います(図5?7)。これは、歯ブラシをサポートする役割を果たすことから、良くサポーターに例えられます。
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図5 歯間ブラシ |
a) 歯間ブラシ
歯と歯の間の歯茎を傷つけないように歯間ブラシをゆっくり入れ、歯の側面に押し当て10 回前後ゆっくりと動かします。気をつけるのは強く当てすぎないこと、両側の歯の面をみがくことです。最初は鏡を見ながら使いましょう。また太すぎたり、細すぎたりするものは却って歯茎を傷つけたり歯の面を削ってしまうことがあるので、適切な太さの物を選びましょう(図5)。
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図6 部分磨き専用歯ブラシ |
b) 部分磨き専用歯ブラシ
普通の歯ブラシではブラシのヘッドの部分が大きすぎて、みがきにくいことがあります。奥歯のうしろ側、歯並びが悪い場所などに有効な器具です(図6)。
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図7 デンタルフロス(糸ようじ) |
c) デンタルフロス(糸ようじ)
歯と歯の間をみがく場合で、とくに歯間ブラシが入らないような狭い場所に用います。歯と歯の間に糸を歯茎を傷つけないように差し込み、ゆっくりと歯の面に合わせて上下に動かします。その際、歯茎側に動かすときは細心の注意で歯茎に当てすぎないようにして、次に歯のかむ側に向けて動かしてゆきます。
これらの歯ブラシや補助清掃器具の選択法、正しい使用法については、知識が豊富な歯科医師や歯科衛生士に相談し、正しい使い方を習って下さい。
4. 生活習慣の改善(変容)で歯周病のリスクファクターを取り除く
a) 喫煙
タバコの煙の中には、タール、一酸化炭素、ニコチンをはじめとして、数多くの有害物質が含まれています。タールは歯にヤニとして付着し、さらにその上にプラークが付着し易くなります。一酸化炭素やニコチンは、病原菌に対する抵抗力を低下させると共に、歯茎の腫れを隠したり、傷口を治りにくくするために、歯周病を重篤化させます。よって、歯周病の治療に際しては禁煙が必要となります。
b) よくかむこと(肥満防止)
早食いは食物を沢山食べる事につながります。ゆっくりと良くかんで、唾液と食べ物とをしっかりと混ぜながら食事を楽しむことが大切です。
c) 食生活の見直し(食育)
繊維の多い野菜、ビタミンA、C、D の豊富な食べ物や野菜、果物をとり、栄養のバランスのとkれた食事を心がけましょう。
d) ストレスの解消
日常生活でのストレス解消のため、ジョギング運動、アロマ療法、音楽療法などを試みたりして、リラックスすることも大切です。
図引用:鴨井久一、沼部幸博著、新・歯周病をなおそう、砂書房、2008年