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歯科とライフステージ

歯周病の進行とその種類を教えて下さい

歯周病は、大きく分けて、歯肉炎、歯周炎と咬合性外傷に分けられます。

1)歯肉炎

 
図1
歯周病は歯肉溝にプラークがたまることからはじまります
 

図2
歯肉炎
歯肉溝にプラークがたまり、歯肉が炎症ではれて、歯肉ポケットになりました。まだ歯槽骨は破壊されていません


歯周病の初期の段階です。炎症が歯と歯茎(歯肉)に限局し、歯と歯茎の境目が赤く腫れたり、出血したりします。健康な状態と比較して歯茎(歯肉)が腫れて盛り上がりますので、歯肉溝が深くなり、これを歯肉ポケット(仮性ポケット)と呼びます(図1,2)。この段階では、炎症は歯の頸の部分に限られているので、早く発見して、歯と歯茎の周りのプラークを歯ブラシで一生懸命除去すれば、健康な状態に戻すことが可能です。


2)歯周炎

歯肉炎がさらに進行した状態です(図3-a?c)。歯茎の腫れや出血だけでなく、歯と歯茎の境目の部分が壊れて隙間が深くなり、歯周ポケット(真性ポケット)を形成します。プラークがさらにこの隙間に沿って侵入すると、根の先の方へとさらに破壊が進行してゆきます。そうすると歯を支えている歯根膜線維や歯槽骨が壊されて、歯がぐらぐらと揺れるようになってきます。症状としては、歯の揺れの他に、歯茎の腫れ、出血、ポケットからの排膿、口臭などがみられるようになります。一般的に慢性歯周炎の病名で、その進み具合から軽度・中等度・重度に分けられます。歯茎の炎症が急激に生じると、急性症状として高度な腫れや強い痛みを伴うことがあります。

 
図3-a
軽度歯周炎
歯肉の腫れが大きくなり、根の先に向かって炎症が拡大し、歯槽骨や歯根膜も破壊されはじめます。それに伴いポケットも根の先に向かって深くなり、歯周ポケットになります。プラークや歯石が歯周ポケットにたまっています
  図3-b
中等度歯周炎
炎症がさらに根の方向に向かって拡大して歯槽骨も歯の根の長さの半分近くまで破壊され、歯がぐらつきはじめました。歯周ポケットもさらに深くなっています
   
図3-c
炎症はさらに根の先に向かって拡大、歯槽骨が半分以上破壊され、歯はグラグラです
 

 3)咬合性外傷

歯のかみあわせが原因で生じる歯周組織の病変のことです。一次性咬合性外傷(図4-a)と、二次性咬合性外傷(図4-b)があります。一次性咬合性外傷は歯周病に罹っていない歯におこるものです。歯ぎしりやかみ合わせの高い被せ物を入れたりした場合、特定の歯に過剰の力が加わることになります。そうなると歯の周りの組織がそれを無理に受け止めようとして、歯と歯槽骨の間にある歯根膜という組織が広がり、歯がわずかにゆれるようになったり、かみ合わせの時、痛みが出ることがあります(図4-a)。二次性咬合性外傷は歯周炎が進行して歯に起こるものです。歯周炎で支えている歯槽骨が少なくなると、歯周組織が健康な時と比較して普通のかみ合わせの力でもきちんと受け止めることができなくなります。よって、かんだとき歯が大きく動いたり、かんだときに痛みが出たりします(図4-b)。いずれの咬合性外傷の場合も、その原因を突き止め、対応する必要があります。

 
図4-a
一時性咬合性外傷
健康な歯周組織のある歯に過度なかみ合わせの力が働くことで生じる。強い力なので、歯が悲鳴を上げる。
  図4-b
二次性咬合性外傷
歯周組織破壊がある歯に、普通のかみ合わせの力が加わった場合に生じる。強い力でなくても力を受け止められなくて、歯が悲鳴を上げる。

4)特殊な歯周病

歯周病は基本的にはプラークが歯茎に炎症を引き起こし、慢性的に進行する病気ですが、その状態を全身疾患、薬の副作用、性ホルモンの異常、異常なストレスや栄養不良、遺伝、全身の症候群などが修飾して特殊な病変を作り出すことがあります。このような状態を特殊性歯肉炎または歯周炎と呼びます。

図引用:鴨井久一、沼部幸博著、新・歯周病をなおそう、砂書房、2008年

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