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3.その他

(1)非定型顔面痛

1)定義
統一した見解は得られていませんが、従来、原因不明の口腔や顎、顔面の痛みを総称した疾患名として使用されてきました。歯科治療を繰り返し行ったにもかかわらず痛みが持続し、いろいろな検査でも診断がつかず原因が解明できなかった難治性の疼痛も含まれています。しかし、他の疼痛性疾患や心理的要因の関与も否定できません。

2)臨床症状
慢性痛で持続性の鈍痛が多いようです。重苦しい痛み、締め付けられる痛み、ズキズキした痛み、痛みとしびれ感、違和感が混在しているなど訴えは多彩で、痛みの程度は不定であることが多く見られます。特定の歯や歯肉などに原因があると確信して抜歯を含む歯科治療を希望されることが多いのですが、さまざまな歯科治療や抜歯を行っても症状が消失または軽減することは少ないようです。

3)治療法
積極的な歯科治療や抜歯で症状が改善しないことが多いので保存的な処置を優先します。近年、このような非定型顔面痛(非定型歯痛)の症例に抗うつ薬や抗不安薬などの薬物療法が効果的であるという報告もあります。鍼治療や漢方薬服用、レーザー照射、神経ブロック、心理学的療法なども行われています。

(2)舌痛症(Burning Mouth Syndrome )

1)定義
特に病気の原因となるような異常所見がないにもかかわらず、「ヒリヒリ」「ピリピリ」「焼けるような感じ」など多彩な症状として舌の痛みを訴えます。また、舌だけでなく口腔の他の粘膜において上記のような症状を訴えるものについてはBurning Mouth Syndrome(BMS)と呼んでおります。ストレスや不安、加齢や糖尿病などの全身疾患、薬剤服用による副作用、栄養障害、ホルモンの変化(更年期)などが考えられておりますが原因は不明です。

2)臨床症状
焼けるような痛みだけでなく、口の渇き(口腔乾燥感)や味覚異常など多彩な症状を訴えます。症状の変化としては、朝、起床時は痛みが少なく、夕方から夜にかけて症状が悪化することが多いようです。痛みの部位は舌の前方や上顎の粘膜、口唇が多く、口の中全体が焼けるように痛いと訴える場合もあります。さらに持続する苦味や金属のような味がするなど味覚異常を訴えることもあります。

3)治療法
非定型顔面痛と同様、近年、抗うつ薬や抗不安薬などの薬物療法が効果的であるという報告があります。軟膏の塗布、鍼治療や漢方薬服用、レーザー照射、神経ブロック、心理学的療法なども行われています。


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