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キシリトールについて

キシリトールとむし歯菌

 キシリトールのむし歯菌(ミュータンス菌)に及ぼす影響は、キシリトールがミュータンス菌内に取り込まれても代謝経路に入れず、エネルギーを消耗させるという「無益回路」で説明されています。さらに、キシリトールはミュータンス菌のエネルギーを消耗させるだけでなく、糖代謝を阻害する効果も証明されています。キシリトールはミュータンス菌の「ホスホエノールピルビン酸依存ホスホトランスフェラーゼシステム(PTS)」により、取り込まれるとリン酸化され、キシリトール5リン酸となります。このキシリトール5リン酸は、それ以降の糖代謝系に入ることはないので排出されます。これが「無益回路」と言われているものですが、排出されずミュータンス菌内に蓄積されたキシリトール5リン酸は、糖代謝系の酵素である「ホスホフルクトキナーゼ」「ホスホグルコースイソメラーゼ」「ピルビン酸キナーゼ」の3種類を阻害します(図4)。

 ただし、キシリトール自体にはこのような酵素阻害作用はなく、ミュータンス菌に取り込まれ、リン酸化してキシリトール5リン酸になると、代謝阻害を引き起こします。この作用により、ミュータンス菌が減少するだけでなく、酸産生も減少します。

 一方、ミュータンス菌の中には、キシリトールにより糖代謝を阻害されないものが存在しています。このタイプのキシリトール非感受性ミュータンス連鎖球菌(非感受性菌)は、キシリトールを取り込むためのPTSが先天的に欠如しており、キシリトールを取り込まず、キシリトール5リン酸を蓄積しないので、糖代謝が阻害されません。

 キシリトールを常用していない方の口腔内に存在するミュータンス菌の約1割は非感受性菌で、残りの9割は糖代謝を阻害されるキシリトール感受性ミュータンス連鎖球菌(感受性菌)です。キシリトールを常用すると、約9割存在する感受性菌は徐々に減少し、これに代わって約1割存在していた非感受性菌が増加します。

 約3カ月摂取し続けると9割が非感受性菌に、1割が感受性菌となり、割合が逆転します。この非感受性菌は突然変異株と考えられており、非感受性菌は感受性菌と比較して酸(特に乳酸)の産生が少なく、歯垢の原因となる不溶性菌体外多糖を作らないので、むし歯になりにくいミュータンス菌と言えます。不溶性菌外体多糖がないことで、歯垢の量が少なくなり粘着性も低くなるため、歯ブラシで清掃しやすく、また、感染しにくいミュータンス菌とも考えられています。

(図3)キシリトールはミュータンス菌の代謝を阻害する
(図4)キシリトールはミュータンス菌の代謝を阻害する

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