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エボラ出血熱関連情報

エボラ出血熱に関するQ&A(厚生労働省作成)

問1 エボラ出血熱とはどのような病気ですか?

エボラ出血熱は、エボラウイルスによる感染症です。エボラウイルスに感染すると、2~21日(通常は7~10日)の潜伏期の後、突然の発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等の症状を呈します。次いで、嘔吐、下痢、胸部痛、出血(吐血、下血)等の症状が現れます。現在、エボラ出血熱に対するワクチンや特異的な治療法はないため、患者の症状に応じた治療(対症療法)を行うことになります。

問2 どのようにしてエボラウイルスに感染するのですか?

エボラウイルスに感染し、症状が出ている患者の体液等(血液、分泌物、吐物・排泄物)や患者の体液等に汚染された物質(注射針など)に十分な防護なしに触れた際、ウイルスが傷口や粘膜から侵入することで感染します。一般的に、症状のない患者からは感染しません。空気感染もしません。
 また、流行地では、エボラウイルスに感染した野生動物(オオコウモリ(果実を餌とする大型のコウモリ)、サル、アンテロープ(ウシ科の動物)等)の死体やその生肉(ブッシュミート)に直接触れた人がエボラウイルスに感染することで、自然界から人間社会にエボラウイルスが持ち込まれていると考えられています。
 なお、WHO(世界保健機関)は、流行地でエボラ出血熱に感染するリスクが高い集団を、
・ 医療従事者
・ 患者の家族・近親者
・ 埋葬時の儀式の一環として遺体に直接触れる参列者
・ 熱帯雨林で動物の死体に直接触れる狩猟者
としています。
 エボラ出血熱は、咳やくしゃみを介してヒトからヒトに感染するインフルエンザ等の疾患とは異なり、簡単にヒトからヒトに伝播する病気ではありません。病気に関する知識を持ち、しっかりした対策を行うことで感染を防ぐことができます。

問3 エボラ出血熱はどこで発生していますか?

1970年代以降、中央アフリカ諸国(コンゴ民主共和国、スーダン、コンゴ共和国、ウガンダ、ガボン等)で、しばしば流行が確認されています。西アフリカでの流行が確認されたのは、今回が初めてです。
 なお、流行状況に関する最新の情報は、WHO(世界保健機関)の Disease Outbreak Newsのサイト(英語)でみることができます。

発生年国名症例数死亡者数致命率
2012コンゴ民主共和国572951%
2012ウガンダ7457%
2012ウガンダ241771%
2011ウガンダ11100%
2008コンゴ民主共和国321444%
2007ウガンダ1493725%
2007コンゴ民主共和国26418771%
2005コンゴ121083%
2004スーダン17741%
2003コンゴ352983%
2003コンゴ14312890%
2001-2002コンゴ594475%
2001-2002ガボン655382%
2000ウガンダ42522453%
1996南アフリカ
(ガボンからの輸入症例)
11100%
1996ガボン604575%
1996ガボン312168%
1995コンゴ民主共和国31525481%
1994コートジボワール100%
1994ガボン523160%
1979スーダン342265%
1977コンゴ民主共和国11100%
1976スーダン28415153%
1976コンゴ民主共和国31828088%
(出典:WHO)

問4 日本はどのような水際対策を行っていますか?

検疫所のホームページや空港等におけるポスターの掲示を通じて、流行地域への渡航者や帰国者に対する注意喚起を行っています。万一、流行地域からの帰国者でエボラウイルスへの感染が疑われる方がいた場合、感染症指定医療機関に搬送するなどの対策を取れるよう、体制が整備されています。

参考:感染症指定医療機関の指定状況(平成26年4月1日現在)

問5 万一、日本国内でエボラ出血熱の患者が発生した場合、どのような対応が取られるのですか?

エボラ出血熱は、感染症法において、マールブルグ病やラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペストなどの感染症とともに、一類感染症に指定されています。
流行地域からの帰国者で、一類感染症に感染した疑いのある人について医療機関等から連絡があった場合、国立感染症研究所で迅速に検査を行い、感染の有無を確認する体制が整備されています。検査の結果、感染していることが明らかになれば、患者は感染症指定医療機関に移送され、感染防御対策の施された病室において適切な医療が公費により提供されることになります。

問6 エボラ出血熱が日本国内で流行する心配はありませんか?

エボラ出血熱は、インフルエンザなどとは異なり、主として患者に直接接触することにより感染すること(問2)、流行地域はアフリカに限定されていること(問3)から、通常の日本人旅行者が現地で感染するリスクは非常に低いと考えられます。また、日本国内の医療体制(問4問5)や生活環境から考え合わせると、日本国内でエボラ出血熱が流行する可能性は、現時点ではほとんどありません。

問7 流行地域を旅行しても安全でしょうか?

現在(平成26年8月11日時点)、日本の外務省は、ギニア・シエラレオネ・リベリアについて、「商業便の運航停止などにより,出国できなくなる可能性及び現地で十分な医療が受けられなくなる可能性があります。これらを踏まえ,早めの退避を検討してください。」、「帰国に際しては,経由地及び日本国内の空港等で停留される可能性がありますので留意してください。」とする感染症危険情報を発出しています。
 渡航する必要がある場合は、渡航前に、厚生労働省検疫所や外務省の海外安全情報のホームページなどで現地の流行状況等、最新情報を確認して下さい。また、流行地域では、基本的な衛生対策(手を洗う、病人・動物との接触を避けるなど)を確実に行い、エボラ出血熱を含め、様々な感染症にかからないよう注意して下さい。
 流行地域から帰国・入国した際は、各空港等に設置された検疫所の検疫ブースにおいて、流行地に滞在していた旨、検疫官に告げ、その指示に従うようにしてください。入国後も、万一、21日以内に、突然の発熱や頭痛などの症状がみられた場合、最寄りの医療機関を受診する際には、事前に医療機関に連絡の上、エボラ出血熱の流行地域に滞在していたことを告げてください。
参考:
厚生労働省検疫所ホームページ
外務省 海外安全情報ホームページ