お口と全身の健康を学べるWebマガジン

11月公開予定 発行:日本歯科医師会 協力:サンスター

生涯、「歩ける」「動ける」「走れる」体であるために

ささいなトラブルから始まる
オーラルフレイル

今から32年前の1989年。80歳になっても20本の歯を残そうという「8020運動」がスタートしました。
当時の日本では、平均年齢がおよそ80歳。疫学調査によれば、20本の歯があれば、大抵のものを食べることができるとわかりました。それを目標に、国民の皆さまに生涯にわたってお口からおいしく食事を召し上がっていただこうと、全国の歯科医師の皆さんが「8020運動」に参加したのです。
その結果、運動前には80歳で20本の歯を備えている方は7%程度でしたが、2016年には、51.2%まで増加させることができました。しかしそれでも、ご高齢の方々から「噛みにくい」の声が聞こえてきたのです。
そこで高まってきたのが、「オーラルフレイル(お口の虚弱)」の考え方です。オーラルフレイルも、フレイルと同じように、最初はささいなお口トラブルから始まり、負の連鎖が進んでいきます。


出典:「歯科診療所におけるオーラルフレイル対応マニュアル 2019年版」(日本歯科医師会)

オーラルフレイルと栄養の、
ただならぬ関係

では、どのように負の連鎖が進んでいくのでしょうか。まず、噛みにくい、噛めないと感じると、必然的にやわらかいものを食べるようになります。すると噛む行為が少なくなるため、咀しゃく機能の低下が進みます。
さらに、現在ではコロナ禍によって会食の機会が減少するなど、生活の範囲が狭くなっています。すると、食欲の低下から栄養不足に陥る場合があります。こういった負の連鎖が進んでいる状態を、オーラルフレイルと呼びます。
オーラルフレイルとは、口腔に関するささいな衰えを軽視しないために、口腔機能や食べる機能の低下、さらには心身の機能低下にまでつながる負の連鎖に、警鐘をならした概念なのです。
オーラルフレイルが進むと、知らずしらずのうちに栄養不足よる健康の不具合がおこり、身体の衰えであるフレイルや要介護、そして命にまで関わるリスクがあるのです。

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