お口と全身の健康を学べるWebマガジン

11月公開予定 発行:日本歯科医師会 協力:サンスター

歯科医療の現場から|お口の健康と全身の健康の関係

周病と全身の病気とのつながり

宇野 義治|日本歯科医師会|広報委員会委員歯周病は、歯を支えるハグキ(歯肉)や骨(歯槽骨)が壊されていく病気で、本人も自覚のないまま重症化していきます。この病気の原因となるプラーク(歯垢)の中にいる歯周病菌が全身に多くの影響を与えることが最近の研究で明らかになってきています。

宇野 義治|日本歯科医師会|広報委員会委員

誤嚥性肺炎

高齢者の3大死亡原因のひとつである肺炎の大半は、口の中の細菌が原因となっています。誤嚥性肺炎は歯周病菌などの細菌が唾液とともに肺に流れ込んで生じる肺炎です。高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥に関係しています。

誤嚥性肺炎イラスト

糖尿病

歯周病は以前から、糖尿病の合併症のひとつといわれてきました。 まず、糖尿病で血糖コントロールがよくないと、感染に対する抵抗力が低下し、口腔内細菌が増殖しやすいことから、感染症のひとつである歯周病が悪化しやすくなります。また、歯肉の炎症反応によって生じたさまざまな物質や歯周病菌による毒素が毛細血管から血液中に入り込み、インスリン分泌機能を低下させていると考えられています。つまり、歯周病と糖尿病は、相互に悪影響を及ぼしあっていると考えられ、歯周病治療で糖尿病が改善することもわかってきています。

狭心症・心筋梗塞、脳梗塞

動脈硬化は、不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因とされていましたが、他の原因として歯周病菌などの細菌感染があることが示唆されています。 血圧、コレステロール、中性脂肪が高めの方は、動脈疾患予防のためにも歯周病の予防や治療がより重要となります。

みがきの大切さ

歯みがきで口腔内の細菌数を減らすことは、むし歯や歯周病を予防するだけではなく、新型コロナやインフルエンザなどのウイルス感染症を予防することにつながるため、歯みがきはとても大切です。 ただし、職場などの洗口場で歯みがきをする場合は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、以下のことに注意するようにしましょう。
歯みがきの大切さイラスト
  • 換気に留意するとともに、3密を避け、一度に多くの人がみがくことがないようにする。
  • 歯みがきをしている時は会話せずに口を閉じてみがき、飛沫が飛び散らないように注意する。
  • 口をゆすぐ時は勢いよく吐き出さず、顔を流し場に近づけてそっと吐き出すようにする。
  • 使い終えたハブラシは流水できれいに洗い、水分をよく切ってから、ヘッド部分を上にして風通しのよいところでよく乾かす。

※日本歯科医師会Webサイトにある日歯8020テレビの動画「ウィズコロナ時代の歯のみがき方 口を閉じてみがきましょう」も参考にしてみてください。

歯周病は感染症の仲間?

歯周病は、感染症のひとつということをご存知ですか? お口の中が「歯周病原菌」といわれる細菌に感染することで起こるのが歯周病。まず、歯のまわりで繁殖した細菌が、ハグキの炎症である歯肉炎を起こします。するとハグキが腫れたり、出血しやすくなったりします。
そのまま放置すると、歯とハグキの間に隙間ができて、歯周ポケットに。そこで細菌がさらに増殖。歯周病へと進行していきます。最終的には、ハグキや骨を壊し、歯が抜ける原因になります。

健康な状態|歯肉炎|歯周炎

歯周病が体の病気の要因に!

歯周病によって口の中で出血が起こると、そこから歯周病原菌が血流に入り込み、全身の病気のきっかけになることが報告されています。糖尿病や誤嚥性肺炎はもちろん、動脈硬化・骨粗しょう症・がんといった病気の引き金になったり、妊婦の方の早産や低体重児出産にも関係しているといわれています。また、最近では歯周病の予防や治療が、認知症の発症や進行を遅らせることも報告されています。

歯周病が体の病気の要因に!

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