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歯周病と糖尿病

栄養状態から考える歯周病と糖尿病の関係

これまで述べてきたように、糖尿病と歯周病の関係は栄養状態によって説明できます。昔に比べ、少々太ったような方では、重症化した歯周病によって悪玉物質が内臓脂肪で多量に産生され、インスリンの働きが悪くなります。高度の肥満になると、肥満そのもので多量に悪玉物質が産生され、それによりインスリン作用が障害を受けます。この状態になると歯周病もさらに重症化しやすい環境が生じます。逆に、要介護者などでは歯周病が進行した結果として栄養の経口摂取が困難になると、より低栄養が進むため抵抗力が弱って感染を受けやすくなります。特に高齢者では誤嚥性肺炎が問題となるので抵抗力の維持が重要です。加え、栄養の経口摂取は消化管ホルモンを介した速やかなエネルギー源の細胞への供給という観点から、極めて大事です。高齢者では高カロリー輸液や経管栄養などによって高血糖症候群(急激な血糖の上昇でもたらされる合併症)を起こしやすいことが教科書的にも知られています。それを予防するうえでも経口摂取による速やかなインスリン分泌を期待することは重要です。また、そのためにも健康な歯と歯ぐきを維持することが大事です。

九州大学大学院歯学研究院 口腔機能修復学講座
歯周病学分野 教授 西村英紀

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