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2.神経系薬剤

抗うつ薬や抗精神病薬などの神経系薬剤の中には口腔乾燥、咬合の違和感、顎関節痛、咀嚼障害、歯周疾患、歯痛など、口腔に関連した副作用を引き起こすものが多くあります。副作用の症状が強く、対処が難しい場合は担当(処方)医師と相談の上、減薬や薬剤変更をすることがあります。

歯科で問題となる主な神経系薬剤の副作用5,6

(1)

三環系抗うつ薬:イミプラミン、アナフラニール、トリプタノール→口腔乾燥症

(2)

フェノチアジン系抗精神病薬:クロールプロマジン、レボメプロマジン→自律神経系への影響、唾液分泌抑制→う蝕・歯周疾患

(3)

ブチロフェノン系抗精神病薬:ハロペリドール、スピペロン→錐体外路症状

抗精神病薬の副作用による錐体外路症状には以下のものがあります。これらは、日常生活上の問題のほか、歯科治療時に支障をきたす可能性があります。

1)

アカシジア(座ったままじっとしていられない)

2)

 

ジストニア(全身または身体の一部にねじれ・硬直・けいれんなどが生じる運動障害)

3)

パーキンソニズム(手足のふるえ、筋肉のこわばり、歩行障害)

4)

ジスキネジア(口や舌の異常な運動、舌のもつれ、手足が勝手に動く)

5)

薬剤性開咬
錐体外路症状により咀嚼筋が持続的に収縮していると前歯部の開咬を引き起こすことがあります。薬剤性開咬の多くは原因薬剤の減量あるいは中止により自然治癒するため、非可逆的な矯正治療は通常行いません。

参考文献

  • 5. 中村広一:抗精神病薬起因の錐体外路症状に由来する顎口腔領域の臨床症状について.日有病歯誌 14:1-7,2005.
  • 6. 中村広一:統合失調症患者の歯科診療−問題点と対応−障害者歯科 27:541-547,2006.

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