目 次
3.漢方薬は未病(みびょう)を治します。
漢方医学の基本には「良医は未病を治す」という言葉があります。「未病」とは「健康と病気の間」を指し、西洋医学では病気と診断されないものも漢方では対処法があると考えられています。未病の治療は、生活改善・体質改善を促し、発症を遅らさせたり、進行を遅らさせたり、生体がもっている回復力や免疫力を高めることにあります。すなわち、漢方薬の基本的な考え方は、人が持っている病気を治す力を高めることです。
今、わが国で広く使われているのは、生薬を煎じて濃縮し乾燥させてアルミパックに入れ飲みやすく持ちやすいエキス剤(医療用漢方製剤)です。
医療用漢方製剤が登場して、漢方薬は広く普及できるようになりました。
生薬を煎じて濃縮し、乾燥させた医療用漢方製剤ができて、煎じる手間がはぶけ、簡単にのめるようになりました。同時に携帯にも便利になったため、漢方薬は急速に普及・定着しました。また、生薬は品質がバラついたり、虫やカビがついて変質したりしやすいものですが、医療用漢方製剤ではこうした品質の問題も解決することができ、安心してのめるようになりました。
漢方薬はいくつもの生薬を組み合わせて作られる薬です。
漢方薬は、多成分系の薬物であり、植物、一部の動物と鉱物との組み合わせたものです。つまり、多くの成分が含まれるというわけであり、口から服用すると野菜スープのようなものなので、消化液で代謝される成分をかなり含んでいます。胃酸で壊れるもの腸内細菌によって代謝を受けるもの、また吸収されずにそのまま排泄されてしまう成分もあります。また、多数の薬物が混在するので、複数の病態に同一の処方で対応できることが少なくありません。すなわち、病名が違っても同じ漢方薬が有効な場合があります。さらに、未知の薬理効果が期待できます。これによって、難病に対する治療効果の期待があります。