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2006年のお知らせ

2006 歯の健康シンポジウム
介護予防と口腔ケアに注目

『口腔ケアは元気の秘訣〜介護予防とお口のケア〜』をテーマに、2006年歯の健康シンポジウム(日本歯科医師会・読売新聞主催、厚生労働省・東京都歯科医師会・日本歯科医学会・8020推進財団後援、松下電器産業(株)・松下電工(株)協賛)が6月3日(土)、よみうりホールで開催された。
介護保険法改正に伴い、「口腔ケア」が介護予防サービスとして導入され、その重要性がますます注目されている。いつまでも自分の歯で美味しく食べるために、要介護者の口腔状態の改善、口腔ケアの果たす役割や方法についての基調講演とパネルディスカッションに会場一杯となる850人の聴衆は熱心に耳を傾けた。

シンポジウムに先立ち、主催者を代表して挨拶に立った大久保満男日歯会長は、「生きることは食べ続けることである。自分で食べられなくなった人達をどのように介護し、口腔ケアしていくのかが歯科医師としての課題であり役割である。全国の歯科医師は、この問題に取り組み、食べる楽しみを与え続けている」と述べた。続いて、後援者を代表して田中秀夫東京都歯会長が挨拶し、2題の基調講演、パネルディスカッションに移った。

■基調講演T
「介護予防のための口腔ケアの重要性〜楽しくおいしく食べるために〜」

植田耕一郎氏(日本大学歯学部摂食機能療法学講座教授)


脳卒中患者が救急処置を終え全身管理が安定して退院すると療養生活が始まる。そこで介護保険を受けるが、介護保険は身体調査をして身体の機能に合わせて介護度が決定し、介護度に応じたサービスの提供がある。しかし、今年の3月までは口の中はブラックボックスとして閉ざされ何の評価もなかった。それ故、口腔内は放置されたままのひどい状態である。このように「体は健康でも口は寝たきり」といった高齢者が増加してしまった。また要介護高齢者の死因のトップは肺炎であり、そのうちの30%が誤嚥性肺炎である。さらには摂食・嚥下障害も起きている。そのため、健康なうちから口の寝たきりは始まっている。
今年の4月から日本の熟年者施策として新予防給付と地域支援事業(一般高齢者施策、特定高齢者施策)が始まった。この新予防給付の中に「口腔機能の向上支援」があり、その内容として摂食機能訓練と口腔清掃介助・支援・指導がある。口腔は清掃だけでなく機能(食事、会話、呼吸など)させることが大事である。
健康って何かな、幸せってなにかなを考えた時、ごくごく毎日、当たり前のようにできている一つひとつのことに対して、いかに”ありがとう”の気持ちが持てるか、これが本当の健康だし、幸せだと思っている。

■基調講演U
「リハビリと口腔ケアの良い関係」

藤谷順子氏(国立国際医療センターリハビリテーション科医長)


リハビリテーションとは、障害があっても生き生きと人間らしく暮らすことへのお手伝いをすることで、障害を軽減させ治す、障害を悪化させない、障害があっても質の高い生活が送れるようにすることである。
日常生活の中で食事は美味しく楽しい食事でありたい。食べることは単なる栄養摂取だけでなく生活が活性化していく大きなターニングポイントになる。一方、食事が安全に摂れない、摂食嚥下障害があると、十分な栄養が摂れない、水分が摂れないことで、栄養障害になったり、脱水になったりする。さらに体力も低下し動けなくなる。また、摂食嚥下障害があると窒息したり誤嚥したりする。
食べることは、うまくいっている時は何気ない1日3回のことであるが、ひとたびこの機能が衰えてくると食べられないというつまらなさだけでなく、医学的に様々な障害が出てくるし万病の元となる。
摂食嚥下障害は、脳卒中だけでなく、様々な病気から起きる。また、病名にかかわらず全体的に身体が弱っている高齢の虚弱な方々にも起きる。
治療方法としては、原疾患や合併症の治療とともに口腔ケアや食べる訓練、呼吸の練習、口腔体操などがある。この中で口腔ケアは、とても簡単で有効な方法である。なぜ口腔ケアが有効かというと、口腔内の細菌を減らすことができるからである。口腔内の運動、感覚機能への訓練となり、嚥下機能に対する訓練になる。「歯みがき」「うがい」「移動」には、身体の機能を用いる。そして口腔ケアをすることによって食事にとてもメリットがある。整容にもよい、認知や五感を刺激する。口臭も減り周囲の人との会話も生まれる。
口腔ケアは毎日、実施しやすく、その励行は全身のリハビリテーションにも、生活全体の活性化にもつながってくる。

■パネルディスカッション
「口腔ケアは元気の秘訣〜介護予防とお口のケア〜」

パネリスト ・植田耕一郎氏
・藤谷順子氏
・田中靖代氏(看護士・ケアマネージャー)
・安藤和津氏(エッセイスト)
コーディネーター ・松田輝雄氏(元NHKアナウンサー)

まず始めに、田中氏が「生活場面にみる食」をテーマに、「口で噛んで食べる。食べ物が口の中を通ることは非常に意義があることで、こぼれても自分で食べたい、口から食べたい、食べたい食べさせたいの思いがある。食行動と話す、歌う、花を生けるなどの生活行動は重複することから、趣味などをいかして楽しみながらリハビリをして食行動につなげていければ」と話した。
続いて、松田コーディネーターの下、パネリストから次のような話があった。

・食べることへの人間の執着は本当にすごい。物を噛むことが歯にとっていかに大切であるか。物を食べられなくなっても口腔ケアが大事である。食べられるようになると表情も変わるし生活行動も変わってくる。

・介護の上で食べること、話すこと、肌と肌が触れ合うこと、コミュニケーションすることがいかに大切であるか。介護の現場では、口の中はブラックボックスであって最後の最後まで手がまわらないのが現実である。歯を見せることは、相手を信頼していることであり、歯を見せて笑える、話し合えることは幸せの一つである。

・人間の生活習慣の中で1日3回食べる行動は、多い生活リズムである。そのたびに自分の口腔ケアをすることは非常に大切なことである。寝たきりになった要介護者にとっても食の習慣を守ってあげることは、人間として生きていく上でのリズムになる。

・歯を治療したことによって鏡を見るようになり、話しをするようになって人生が楽しくなっていく。
・人は最後まで美しくありたいと思うし、歯も丈夫できれいであってほしいと思う。健康な暮らしをするために、美味しく食べるために歯を守ろう。

・今、自分の口腔ケアをしっかり行うことで、その難しさが分かり、将来、要介護者を口腔ケアすることの困難さも分かる。今日から自分の口腔ケアが介護予防につながる。

その他、電動ブラッシング教室などが行われ、シンポジウムは幕を閉じた。

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