守ろう歯の健康!「年に2回以上は、歯科医院でプロフェッショナルケアを受けましょう。」 歯の学校 vol.77 日本歯科医師会

制作:日本歯科医師会

キーパーソン・メッセージ 日本歯科医師会 会長 副会長 歯科医師 高橋 英登 キーパーソン・メッセージ 日本歯科医師会 会長 副会長 歯科医師 高橋 英登 キーパーソン・メッセージ 日本歯科医師会 会長 副会長 歯科医師 高橋 英登
  • 日本歯科医師会 会長
  • 歯科医師
  • 高橋 英登
口腔健康管理による歯周病予防は、生涯の健康につながります。 口腔健康管理による歯周病予防は、生涯の健康につながります。

有病率が依然高い「歯周病」。
近年は低年齢化が進む傾向も

むし歯と並んで歯科の2大疾患といわれている「歯周病」は、歯と歯ぐきの境目のすき間(歯周ポケット)に細菌が入り込んで起こる感染症です。歯肉に炎症が起きたり、進行すると歯を支えている土台の骨(歯槽骨 しそうこつ )が溶けたりする病気です。

有病率は30代から60代にかけて高く、年代が上がるに従って症状が進行した人の割合が増えます。厚生労働省による令和4年歯科疾患実態調査では、歯と歯ぐきの境目のすき間が4mm以上を有する者の割合は年代が上がるにつれて増加し、45歳以上では半数以上に上ります。加えて、近年は低年齢化が進んでいて、10代でも歯周病の初期症状が見られることから、早期の歯周病対策が重要であることが改めて示される結果となりました。重症化する人が増えてくる30代になったら、歯だけではなく歯ぐきの健康状態を意識したケアが求められます。

歯周ポケット(4mm以上)を
有する者の割合の年次推移、
年齢階級別
(厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査」)

歯周ポケット(4mm以上)を有する者の割合の年次推移、年齢階級別(厚生労働省「令和4年 歯科疾患実態調査」)グラフ 歯周ポケット(4mm以上)を有する者の割合の年次推移、年齢階級別(厚生労働省「令和4年 歯科疾患実態調査」)グラフ

歯周病予防は感染症対策や
全身の健康を維持するカギに

歯周病は“サイレント・ディジーズ(沈黙の病気)”と呼ばれ、初期にはほとんど症状がありません。わずかな歯ぐきの腫れや出血などを放置していると、初期症状である「歯肉炎」から「歯周炎」に進行してしまい、最悪の場合、歯を失うこともあります。実際、日本人が歯を失う原因の第1位が歯周病なのです。

また、口内で増殖した歯周病菌が体内に入り込むと、脳疾患や心疾患などのリスクを高め、糖尿病を悪化させるなど、全身の健康を脅かすことがわかっています。認知症、誤嚥性肺炎などに関係することもあり、妊婦さんの場合は「早産」や「低体重児出産」も懸念されます。

さらに歯周病菌は、インフルエンザなどのウイルスが持つ酵素を活性化し、感染や重症化を助長することも明らかになっています。そもそもお口の中の免疫は、IgAという抗体が働き、害を及ぼす微生物を排除してくれる粘膜免疫というシステムで実行されています。しかしこのIgAも、口内が汚れていれば敵が多すぎて、防衛が難しくなってしまうのです。

歯周病と全身の健康との関わり

歯周病と全身の健康との関わりのイメージ画像

年2回以上の定期チェックで
質の高い口腔健康管理を

歯と口の健康づくりには、定期的に歯科医師や歯科衛生士などからのチェックやブラッシング指導を受け、それに基づく適切なセルフケアを継続する、質の高い口腔健康管理が不可欠です。

政府も口腔健康管理の必要性を重視する中、「骨太の方針2023」では「生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)に向けた取組の推進」と明記されました。今後は、妊産婦、大学生、労働者、成人期、高齢期等における歯科健診の制度化および拡充を引き続き強く働きかけ、歯科保健医療対策の推進を図ってまいります。そして、国民の健やかな生活を支える立場から、歯科保健医療の提供、口腔健康管理の推進に貢献できればと考えています。

歯とお口の健康は、病気の重症化を予防し、健康寿命の延伸につながります。年2回以上は定期的に歯科医院などでチェック&ケアを受けて、歯とお口の健康を維持しましょう。

ページトップへ
ページトップへ