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近代以前の入れ歯など

ジョージ・ワシントンの入れ歯

 米1ドル紙幣に描かれている米国初代大統領ショージ・ワシントンの肖像は有名です。しかし、じっくりこの肖像画を見ると、口元が少し不自然であると思いませんか。
 実はこの肖像が描かれたとき、ワシントンには歯が1本も残っていなかったのです。彼はこのとき、総入れ歯を入れていましたが、入れ歯の調子はあまり良くなく、含み綿をして、頬のふくらみが出るよう工夫したそうです。専門的に見ると、明らかに顔、口元に緊張があり、入れ歯の不具合が窺われます。
 記録によると、彼は28歳で部分入れ歯にして以来、生涯7度入れ歯を作っており、そのうち現在も5組保存されています。
 当時の入れ歯はスプリングで上下をつなぎ、歯ぐきに押しつけることによって動きを少しでも止めるようにしたものでした。また、人工歯はカバの歯を使って彫刻したものだと言われています。そのため、ワシントンもかなり苦労したようで、痛みで公務に出られず、家にこもることもしばしばだったようです。
 これに比べ我が国の木彫入れ歯は、16世紀初頭にはすでに現在と同じような形で吸着し、機能することができたという素晴らしいものでした。
 我が国の木彫入れ歯を知っていれば、ワシントンもあのような渋面を世界中にさらさずに済んだはずだ、と残念がったことでしょう。


日本歯科医師会 広報委員会

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