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原因除去療法(歯科的)について

抗原を含有する修復物を口腔内より選択的に除去し、一定期間仮封や仮歯などで経過観察を行いながら治癒傾向を見ます(2〜3カ月から1年程度)。治癒の方向に進めば、慎重に材料選択を行いながら、再修復に進みます。

当外来を訪れた患者さんのデータによれば、原因除去療法が終了して2カ月経過後では50%以上の患者さんに症状の変化はみられませんでしたが、アレルゲン除去から約2年後では改善傾向がみられるのは約60%と増えてきました。しかし、中には症状の変化は見られなかった人もいますので、修復物を外したからといって必ず治るとは限りません。(図13

修復治療・交換治療(原因・抗原除去療法)――選択的抗原除去法

口腔内に存在する、原因金属含有修復部を選択的に除去し、アレルゲンを含有しない別の材料で再修復する。

(1)【要点】
・ 歯科用材料の具備すべき要件を満たしていること
 (生物学的・化学的・機械的・操作上・品質管理上の要件)
(2)【原因除去療法の必要条件】
・ 皮膚科的な原因除去療法の知識をもつこと(相談可能なアレルギー専門の皮膚科と連携すること)
・口腔内金属中のアレルゲン存在部位を特定すること(口腔内金属の成分分析が可能なこと)
・ 治療用材料に対する配慮が可能なこと=市販の歯科用合金の正しい選択基準をもち、特殊な材料(チタン・ハイブリッドセラミックス・セラミックス・ジルコニア等)による治療システムを確立していること

アフターケア――経過観察と再発防止

アレルゲン除去完了後も長期間にわたり症状の変化を必ず観察し、また、再発防止のために新たに修復処置する歯は、慎重に材料を選択する。

【要点】
・ アレルゲン完全除去後、1年間は来院し経過観察する
・症状が好転してゆくようならば、3カ月に1度の来院、6カ月に1度の来院という形で、間隔を広げていく
・ 各来院ごとに、症状確認・記録を必ず行う
【再発防止】
・カリエスなど処置すべき歯が発生した場合、再発防止のため、当然アレルゲンを含有しない材料で補綴・修復する

東京医科歯科大学歯学部附属病院 歯科アレルギー外来 臨床教授 松村光明

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