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デンタルチーム

歯科衛生士

口腔ケアの専門家

 終戦後、わが国の医療制度は GHQの強力な指導により大改革がなされました。その結果、昭和二十三年に歯科衛生士法が制定され、保健所の歯科衛生業務の担い手として歯科衛生士が誕生しました。しかしこれは単に制度上で、まだ養成所もなく、実際に歯科衛生士が誕生したのは昭和二十五年のことです。その後、歯科衛生士はわが国の国情に合わせて、主として歯科医院という地域医療の現場において活躍するようになりました。現在では、われわれデンタルチームの重要な一員です。

 さて、歯医者さんに行くと、治療を始める前にお口の中をきれいに清掃しますね。歯垢や歯石がついて不潔な状態では、現代の精密な歯科医療を進めることができません。歯磨きの指導や超音波歯石除去器を使ってこれらの処置をするのが、歯科衛生士の第一の業務です。お口の中の状態が衛生的になると歯科治療を進めますが、歯科衛生士は歯科医師の診療の補助も行います。そして一連の歯科治療が終わったのち、正しい歯磨きができているか、歯肉の状態がよく保全されているかなどのチェックも歯科衛生士の業務です。このように、歯科衛生士は、歯科診療開始前の口腔内衛生状態の改善と、治療後のメンテナンスの重要な部分を担っています。

 今日、国民全体にお口の中の健康への関心が高まり、健康を保つための知識や方法を知りたいという人が増えてきました。これらのニーズに応えるのも、歯科衛生士です。すでにフリーランスの歯科衛生士として、口腔衛生の相談や歯磨き指導で活躍をしている人もいます。さらに高齢化社会を迎えた今日、在宅寝たきり老人の口腔内の健康管理のために、歯科衛生士の訪問指導や処置も始まっています。これはまだまだ一部の地域のみではありますが、歯科衛生士のさらなる活躍が期待されてます。

今後、歯科医学が治療( cure )から予防( care )へと発展していくならば、歯科衛生士の活躍の場はますます増えていくことになるでしょう。

出典: 「歯にいいはなし」香川県歯科医師会 編
発行:医歯薬出版株式会社
元日本歯科医師会生涯研修委員会委員長・武部裕光

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