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16.歯を食いしばった時には,どれくらいの力が歯にかかっているのですか?

 健康な成人男性( 20 − 30 歳) 42 名を対象に,噛みしめ時に奥歯(下顎第一大臼歯・ 6 歳臼歯)にかかる力(咬合力)を測定した研究によると,最小では 27.5kg ,最大では 100kg もの値を記録し,その平均は 59kg でした。その後,前歯や犬歯の咬合力も測定されています。 20 歳代の成人男性 150 名の右側前歯,犬歯および奥歯の咬合力はそれぞれ 15.66kg , 27.74kg , 66.90kg と記録されています。これらのデータからも,歯を食いしばった時には,自分自身の体重に匹敵するくらい大きな力が奥歯にかかっていることが分かります。ちなみに普段の食事の際に奥歯にかかっている力(咀嚼力)は最大咬合力の 2 分の 1 から 4 分の 1 と小さく,およそ 10 − 20kg 程度であるとされています。なお,硬い食物を強烈に咀嚼する習慣のあるエスキモー人では最大咬合力が我々の 3 倍にもなっていると言われています。

【参考】

1.咀嚼の話.日本歯科評論社,東京, 1983 年.

2.新歯学大事典.永末書店,京都, 1985 年.

3.臨床咬合学事典.医歯薬出版,東京, 1997 年.

17.歯をグッと食いしばると,全身の筋力がアップするって聞きましたが,本当ですか?

 テレビのスポーツ中継などで 選手が歯を食いしばって頑張っているシーンを見たことがある方は多いのではないかと思いますが,何もこの手の話は スポーツ選手に限ったものではありません。皆さんの中でも 重い荷物を持ち上げたりする瞬間に,つい歯を食いしばってしまう方は意外に多いのではないかと思います。このように日常生活における色々な労作時や様々なスポーツ活動中に歯を食いしばって頑張る癖のある日本人の割合は約 6割(10人に6人ぐらいの割合)と言われています。

この歯の食いしばり効果に関する研究結果によれば,全身の筋力を瞬間的に増強させるテクニックの一つであることが証明されています。ただ,歯の食いしばり効果は手足のどこか一部の筋力だけをアップさせるのではなくて,手足,体幹といった全身のあらゆる筋力を同時にアップさせてしまう働きがあるようです。

したがって,踏ん張るような運動動作や全身性に強くて大きな筋力が必要とされるようなスポーツシーンでは,歯の食いしばりが一役も二役も買ってくれそうです。

【参考】

1.咀嚼運動の生理学.医歯薬出版,東京, 1998 年.

2.スポーツ歯学の臨床.医学情報社,東京, 1998 年.

3.口腔の生理から?を解く.デンタルダイヤモンド社,東京, 2007 年.

18.マウスガードのことをもっと詳しく知りたいのですが?

 マウスガードを含めてスポーツ歯科医学を専門的に研究している学術研究団体として,日本スポーツ歯科医学会があります。この日本スポーツ歯科医学会では,マウスガードおよびスポーツ歯学のスペシャリストであるスポーツ歯科認定医の養成に力を入れています。スポーツ歯科認定医を取得するためには,一定の診療研鑽を積んだ上で,学会が定めたスポーツ歯科医学の研修カリキュラムを履修して,認定医審査試験に合格することが必要です。一度合格した後も5年毎の更新審査が義務付けられています。

マウスガードのことなら,是非お近くのスポーツ歯科認定医の資格を持っている歯医者さんにご相談下さい。詳しくは学会 HP ( http://wwwsoc.nii.ac.jp/jasd/ )をご覧になって下さい。

東京医科歯科大学スポーツ医歯学教室・助教授 上野俊明
東京医科歯科大学・名誉教授 大山喬史

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