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キシリトール等の代替甘味料について

キシリトールの上手な使い方

 口腔の健康を保つ手段として最も重要なことが4つあります。それは、@歯を磨く(ブラッシング)Aフッ化物配合歯磨き剤を上手に使う(フッ化物の応用)B発酵性の食品が口に中にとどまる時間を短くする(正しい食生活)Cこれらの手段がきちんと機能しているかチェックする(定期的歯科健診)です。

 これは子どもでも大人でも基本的に同じで、変わることはありません。すなわち、手や顔を洗い、体の清潔を保つことと同じように、▽歯の清潔を保つための基本であるブラッシング▽歯を硬くしてむし歯になりにくくするためのフッ化物の応用▽体や精神の健康を守るための基本である正しい食生活▽その効果判定のための歯科医院での定期的健診は、生涯を通じて行わなければならない大切なことと言えます。

 それでは、キシリトールはこれらのどこに位置するのでしょうか。キシリトールを使う(食べる、摂取する)ことは、前述の健康な歯を守る方法に取って代わるものではありません。ただし、キシリトールを常用することは、これらの手段の効果を著しく向上させます。

 例えば、キシリトールは歯垢を剥がしやすくするため、ブラッシング効果を上げますし、フッ化物と一緒に使うことにより、歯を硬くする効果を向上させます。また、キシリトール製品を利用して、正しい食生活の教育もできますし、歯科医院ではキシリトール製品を使用したむし歯予防の説明とその効果判定が受けられます。そのため、キシリトールを使ったむし歯予防法は、「追加型むし歯予防法」と呼ばれています。

 図5のように、歯の健康を守る手段を四葉のクローバー(それぞれの葉が歯の健康を守る重要な要素、茎がキシリトール)に見立てると、葉が大きくなるには茎がなくてはなりません。しかし、葉がなくて茎だけでは、大きくなりようがありません。つまり、葉に描かれた「手段」の効果を大きくするためにキシリトールは使われるのです。

 キシリトールの効果が期待できるお菓子は、ガムかタブレット(錠菓)に限られます。これ以外のお菓子や食品、例えば、ケーキやジュース類にキシリトールが含まれていても、むし歯予防の効果は期待できません。なぜなら、ガムやタブレット以外でキシリトールが口の中に長くとどまるものがないからです。また、これらのお菓子には、キシリトールができるだけ高濃度(50%以上)で含まれていることと、砂糖などの発酵性の甘味料が含まれていないことが必要です。ですから、「シュガーレス」表示を確かめるか、パッケージの成分表示をよく見て、糖類が0gであることと、糖質中におけるキシリトールの割合が50%を超えていることを確認してください。

 むし歯予防効果を十分に発揮させるためには、高濃度キシリトール配合のガムかタブレットを1日3回、3カ月以上続ける必要があります。むし歯になりやすい方には、特に効果的と考えられます。

 子どもへのミュータンス菌の感染を予防するためには、歯が生える少なくとも3カ月前から、保護者を始めとする子どもの周囲にいる人達へのキシリトール使用が望まれます。

(図4)健康な歯を守るための4枚の葉
(図5)健康な歯を守るための4枚の葉

日本歯科大学 生命歯学部 高齢者歯科学 教授 羽村 章


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